2011年5月31日 of GAIPRO.NEWS

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

いい映像は足下から ザハトラーから

2011.5.31

FSB6

三脚は自分の体の一部

 いい映像を撮りたい。その思いの多くは撮影するカメラに反映される。カメラが高機能であればあるほどいい映像が撮影できると思いがちだ。しかし、実はいい映像を撮るかなり重要なファクターが、そのカメラを支える三脚にある。カメラのすべての動きを決める三脚、自分の手の延長になるものである。この三脚が映像の善し悪しを決めるといっても過言ではない。プロならカメラより三脚に金をかけろ、というのは筆者の持論だ


ザハトラーという名の三脚

FSB6営団地下鉄のマークがなつかしい
弊社で使っている三脚ヘッドのすべてが「ザハトラー(sachtler)」というメーカーである。(正確には脚に限りヴィンテンやマンフロットというメーカーを使用)筆者がザハトラーフリークなのは言うまでもない。その理由は、油圧式でない、あくまで機械式(ギア比率でヘッドの粘りを調整)だということ。ドイツらしい独自の機械技術で定評があり映像の現場では圧倒的なシェアを誇っている。映像やっている人なら一度は、昔の営団地下鉄のマークみたいなロゴを目にしたことがあるだろう。一般的な三脚に採用されている油圧式は油で粘りを制御しているので寒暖の差に影響を受けやすいが、ザハトラーの機械式は気温の変化に関わらずほぼ一定の動きをしてくれる(というのは一般論で、筆者の印象では寒いと若干粘りが強くなる感じはある)FSB6とDSLRDSLRもザハトラー
カウンターバランスをきちんと設定できれば、たとえズームアップしている映像も、ぶれることなくなめらかにパン&ティルトしていくことができる。動きの始まりと終わりもイーズがかけやすい。ス~っと走り出してス~っと止める。これは映像を撮影する上で基本中の基本だが、最近こういった動作が出来ないカメラマンを目にする事がある。技術もさることながら、筆者的には「その三脚でお仕事しちゃぁ‥」と思ってしまう現場もあったり。技術力でカバーできればもちろん超した事は無いのだが、三脚はやはりある一定のレベルで揃えたほうがいいと思う。しかしながら三脚の良し悪しは、現場である程度使っていて初めて気づくもので店頭でさわったレベルではなかなか判断できない。一概に値段が高い=いい三脚とも言えない。自分のフィーリングや好みもわかれる部分なので、レンタルできる機会があればじっくり使用してみて購入したほうがいいと思う。


メインはFSB6

カウンターバランスカウンターバランスは10段階
一眼ムービーの撮影やDVCPRO、HDVカメラなどの中規模の業務用カメラにベストマッチなFSB6。もちろん肩乗せ型の放送用カメラにも十分耐えうる三脚だ。カウンターバーランスは10段階あり、トルク(粘り)の調整も3段階から選べる。他メーカーでは無段階調整の三脚もあるが、筆者は段階として分けられているほうが好みだ。HDVなどのハンドベルト型業務用カメラにはカウンターバランスは「2」がベストポジション。具体的なカウンターバランスの調整方法がビデオサロンのWEBサイトで紹介されていたので参考にしてみてほしい。同じシリーズには少し安価なFSB4もあり、ハンドベルト型業務カメラや一眼ムービーは、こちらの三脚でも十分だと思う。カメラ取付け部に「タッチアンドゴー」という機構を取り入れたモデルもあるが、カウンターバランスがとりにくい場面もあり、筆者はあまりオススメしない。
Z5JとFSB6カウンターバランスは重要
さて、先に書いたカウンターバランス、これは撮影においてとても重要だ。きちんとバランスを取れば、カメラをどの角度に傾けたとて、パン棒から手を離すとその位置で止まる(ズズズってカメラが上下したりしない)。例えば、長話をしている人物をズームレンズで寄って撮影している際、その間ずっとパン棒を握りしめてカメラを固定してるのは大変な事。手の振動が伝わって映像にも悪影響を与えかねない。きちんとカウンターバランスをとってトルク(粘り)をかけ、撮影中は動かす時だけパン棒を握るのが基本だ。三脚にはカウンターバランスやトルク調整がついていないものもあり、中にはパン&ティルトのツマミをゆるく閉めてトルクをかけるといった荒技をやっているカメラマンもいる。これは機材の消耗を早めるばかりか、へんなクセもつくので筆者はかなりの勢いでオススメしない。特に業務で使用するのであれば、きちんとカウンターバランスとトルクが調整できるタイプの三脚の購入をオススメしたい。


撮影の救世主「スピードロック」

スピードロック1ザハトラースピードロック
さて、三脚は「ヘッド」と「アシ」に分けられる。「ヘッド」は三脚の心臓部でスチールカメラで言うところの「雲台」のようなもの。業界用語では「おかま」とか呼ぶ時代もあった。(ちなみにカメラを取り付ける部分のプレートを「船」と呼ぶ)カウンターバランスやトルク調整はこの「ヘッド」で行う。対して「アシ」はヘッドをささえる脚のこと。アルミ製やカーボン製がある。このヘッドとアシ、同一メーカーに超した事はないが、弊社ではヘッドはザハトラーでもアシは、ヴィンテンだったり、マンフロットだったり、いろんなメーカーが混在している。理由は、ヘッドの機構は他のメーカーでは真似できないが、アシに関してはそれほどの違いは無いからだ。ザハトラー純正より、同じくらいのレベルのものでもっと安価なものがある。特にマンフロットの脚は高品質でコストパフォーマンスが高いので気に入っている。スピードロック23段をレバー1つでリリース可能そして最近、弊社で購入したザハトラーの「スピードロック」。前々から気になっていた脚で、撮影現場をより快適にしたいという思いから購入した。秀逸なのは、3段カーボン製(軽量)の三脚なのだが、なんと1つのレバーでその脚の高さが一度に調整可能なところ。通常は3段であれば脚ごとに2つ(計6つ)のレバーを操作しなければならず、下の脚を途中で出したい場合は下のレバーを操作するため一旦屈まなければならない。そこで脚の出し入れはアシスタントにやってもらうことが多いのだが、勘が悪い人だと伸ばしたいタイミングですぐに伸ばしてもらえず、もどかしい思いをすることがある。ましてや1人の現場でカメラを支えながら2つ(計6つ)のレバーを何度も操作するのは骨が折れる作業。スピードロックなら屈まなくてもレバー1つで脚の全体の高さが一気に変えられる。しかもカーボン仕上げなので軽量で頑強だ。これは想像以上に快適で、時間の無い現場では威力を発揮しそうだ。


便利なアシ、マンフロット535

マンフロット535マンフロット535
カーボン製でコストパフォーマンス抜群のマンフロット535。チューブ型のスプレッダーレスタイプで、脚を最高まで開けばローアングルも撮影できる。高さが極端に違う場所などに脚を置く際にも非常に自由度が高い。弊社はこのマンフロット535にザハトラーのFSB6を装着して使用している。535自体はカーボン製でとても軽量なのだが、FSB6が重いので実際はそこまで軽量になった印象は無い。スプレッダーレスなのは自由度が上がる反面、移動する時は転倒しやすいので注意が必要。実は535+FSB6に装着したZ5Jをアシスタントに倒され修理に出した悲しい過去がある。また、もう一つ難を言うなら、格納式石突スパイクが使用している過程で知らぬ間にむき出しになりやすく、うっかり床を傷つけかねない。これを防止するために筆者は100円ショップにあるようなケーブルまとめ用のスパイラルチューブを適当な大きさに切って脚とスパイクゴムの間にまきつけている。こうすることでスパイクゴムが回転しなくなるので尖ったスパイク部がむき出しになってくることは無い。いろいろケチつけてしまったが、結果としてはとても便利な脚で、持っておいて損ない1本である。


マンフロット535ベビー三脚代わりにもなるマンフロット535スパイク突出防止に チューブを巻き付ける


映像を追求するなら三脚を追求せよ

筆者が学生のころは大学にあった三脚はすべてヴィンテン製のものだった。その中でもVisionシリーズは当時のワタクシにとっては高嶺の花。個人での撮影の際は安価でもそれなりに撮影できるリーベックの入門機的な三脚を使用していて、トルク調整もカウンターバランスも無いモデルだったため撮影はとても苦労していた記憶がある。実習でVisonを使う時は心が踊った。あの白いカラーリングでガンダムみたいなデザイン?(ガラスに映り込みやすいが)プロの現場では必ず目にするあこがれの三脚。しかし、実際現場に出てみるとザハトラーの三脚も多いことを知る。特にCMや映画の現場で使用している三脚のほとんどがザハトラーだ。いつしか、あこがれはギア式のザハトラー三脚に移っていた。気づけば今弊社にある三脚ヘッドのすべてがザハトラー。現場で多く使われているにはやはり理由があってのこと。1本持っていて損はない三脚だ。マンフロット504HDマンフロット504HDしかしながら最近はマンフロットが安価で高性能な三脚を次々に発表している。デザインもみな美しい。特に504HDはヘッドの真ん中が筒抜けている独特な形状をしていて油圧式ながら評判も上々、かなり気になっている。物欲心をそそるが、ザハトラーで慣れてしまっている筆者にとって実際の使用感はどうなのか気になるところ。いずれにせよ撮影にはカメラもさることながら三脚は是非いいものを選びたい。最初に述べたように、三脚はカメラマンにとって体の一部である。ズーミングを除いたあらゆるカメラワークの技術は三脚次第。いま一歩先の映像を追求するためには三脚は重要な要素である。



GAIPROMOTION on Facebook

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

お問い合わせ

LinkIconinfo@gaipromotion.co.jp

〒154-0004
東京都世田谷区太子堂
3-14-8
太子堂COMPLEX 2F
TEL/FAX 03.5787.6511