2011年6月15日 of GAIPRO.NEWS

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EOS 5D mark II の取材セット

2011.6.15

 やはりDSLRネタは今の時代に受けるらしく、今回も性懲りも無くEOSの話題を。弊社では多種の取材撮影を月に何本か請け負っている。対象は経営者をはじめ著名人、芸能人、政治家と様々。しかしどの現場にも共通して言える事は、出来るだけコンパクトに、短時間で済ませたいといった要望があること。多くはビデオカメラで行っているが、中にはちょっとだけ余裕があるのでEOSでやってみようかといったものもある。今回は取材先で最もミニマムな装備でデジ一撮影するための、名付けて「EOS 5D取材セット」を紹介してみたいと思う。


EOS5D取材セットリスト

EOS 5D mark II
・カメラ:EOS 5D mark II
・マイク:SONY UWP-V1
・ICレコーダー:TASCAM DR-07
・レンズ:TAMRON SP AF28-75mm F2.8 XR Di
・レンズ:Canon EF 70-200mm F4 L IS USM
・モニター:SONY LPM-770BP
・三脚:ザハトラーFSB6
・蛍光灯ライト(大小2灯)


取材のキモである音声は基本ワイヤレス

EOS 5D mark II5D mark IIは唯一音声マニュアル可能
取材では映像もさることながら音声まわりが重要になる。弊社では、ワイヤレスピンマイクを中心にして、その音声をEOS 5D mark II本体と、バックアップとしてICレコーダーの2つに入れている。EOS 5D mark IIは唯一、公式ファームで音声レベル調整が可能になった。しっかりレベルをとっておけば、バックアップの音で編集時に同期とる必要なく、EOSのムービーファイルのみで完結できる。音声は圧縮されてしまうが、もともとがワイヤレスの音なので、さほど気になったことはない。


ワイヤレス受信機から音声2系統を出力

UWP-V1UWP-V1
ワイヤレスマイクはSONY UWP-V1。RAMSAなどの放送用ワイヤレスマイクと比べてしまうと多少ノイジーだが、取材での用途には十分耐えうる凡庸のワイヤレスマイクだ。ポイントは、受信機にマイク出力と音声モニタ用にライン出力(ヘッドフォンジャック)の2系統が備わっている事。特別な分岐を用意することなく、受信機から直接ICレコーダーとEOS本体に音声入力が可能になる。ただ、EOS本体への入力はマイク入力のため、そのまま普通のステレオミニのケーブルで接続すると、どんなに音をしぼっても音がひずんでしまう。そこで抵抗入りのステレオミニケーブルで接続する。このケーブル、いろいろ探したが短いものが市販されておらず、仕方なく長いものをまとめる結果となった。ツワモノは短いケーブルを自作しているが、電子工作が苦手な筆者はそこまでに及ばず、「好き者」失格である。UWP-V1受信機には音声出力が2系統ある注意したいのが、EOS本体のマイクジャックはプラグインパワーになっている。本来であればワイヤレスマイクの受信機のマイクアウトとつなぎたいところだが、余計な電圧がかかると受信機の故障につながるとメーカーに注意された経緯があり、それ以降は隣のヘッドフォン用のラインアウトから音をつなぐことにしている。最近ワイヤレスのホワイトノイズが大きくなってきたなと思ったら、コンデンサー異常が考えられる。原因としてプラグインパワーや+48の電源を入れっぱなしにしたまま受信機と接続したせいというのがメーカー側の意見だ。しかしながらプラグインパワーはオフる機能が無いので受信機側で電圧回避の回路を設けて欲しかった。


音声モニターはICレコーダー側で行う

DR-07DR-07で収録とモニタリング
EOSでは直接、収録音のモニターができないため、ICレコーダーのヘッドフォンジャックからモニターをする。弊社で使用しているTASCAM DR-07はコンパクトで多機能なSDカード収録タイプのレコーダーだ。(残念ながら現在は生産完了品、後続機はDR-07MKII)ディスプレイの視認性も良く、音声レベルメーターも見やすい。映像では一般の48kHz収録に対応していて、リニアPCMのwav形式で記録されるので、FinalCutProなどの凡庸編集ソフトのタイムラインにそのまま呼び込める。EOS本体の音声レベル調整を可能にするとリミッターが効かなくなるため、DR-07ではリミッターをかけてバックアップ収録している。ただ入力がすべてステレオミニのため、ガンマイクなどの凡庸の放送用マイクを使用する場合はXLR→ステレオミニの変換が必要。DR-100XLR入力が2系統のDR-100こういった用途の場合は、できればDR-100が欲しいところ。こちらはLXRを2系統装備しているのと、マイク出力、ライン出力、ヘッドホン出力と、出力系統が豊富なのでEOSでの併用には絶対便利なハズ。弊社でも前々から購入を検討している。いずれにしても、ICレコーダーはバックアップとともに録画中の音声モニターをするために重要である。万が一EOSの音で異常があったらICレコーダーの音に差し替えることで難を逃れることができる。


カメラ本体のホットシューをフル活用

WホットシューWホットシューでコンパクトにまとめる
やれワイヤレスだ、やれICレコーダーだと、いろんな機材がかさばるのもスマートではない。そこで、EOS本体のホットシューをフル活用して機器同士をコンパクトにまとめている。ホットシューの2分配プレート(Wホットシュー)を利用して、1つのホットシューにワイヤレス受信機とICレコーダーを装着。DR-07は背面にネジ穴があるので、小さなホットシュー雲台(UNX-5630)を取り付けて設置。結果としてICレコーダーを雲台を使ってベストな位置に調整できる。またケーブル類がレンス前のかからないように注意を払う必要がある。長いケーブルを使用する際は特に気を付けるべき。 さて、この時点でざっとカメラ周りを見てみると、EOSが立派な同録ムービーカメラにまとまった。あとはモニタリング用の7インチHDMI入力モニター(SONY LPM-770BP)を併設してHDMIケーブルで接続すれば「取材セット」が完成する。特にSONY-LPM-770BPは音声モニタが可能。ヘッドフォン出力も装備しているので、撮影した映像をその場で確認するのにも便利だ。


取材においてのレンズの選択

SP AF28-75mmF/2.8 XR Di TAMRON SP AF28-75mmF 2.8 XR Di
取材で使用する主なレンズだが、弊社での定番はTAMRONのSP AF28-75mmF 2.8 XR Di 。手ぶれ補正こそないが、全域においてF2.8の明るさで画像のキレもそこそこ良く、28-75mmをカバーしているので取材撮影においてはうってつけのレンズだ。スチールカメラマンの間でも評価の高いレンズ。以前はEF50mm F1.8 IIを多用していたが、やはりズームレンズのフレキシブルな画角操作は取材現場では必須だ。いずれのレンズもコストパフォーマンスという点では申し分無い。持っていて損ない1本である。


Canon EF 70-200mm F4 L IS USMCanon EF 70-200mm F4 L IS USMもう1本、持っていて損ないレンズを紹介したい。Canon EF 70-200mm F4 L IS USMは実にバランスの撮れたズームレンズだ。F4と若干暗いが、このクラスのレンズとしては軽量で持ち運びにはとても助かる。また手ぶれ補正も動画には有効で手持ちの場合は重宝する。まあ取材で手持ちは滅多に無いが。画質も背景のボケといいかなり満足度が高い。普段はTAMRONを使うが、グっと画力が欲しい場合は使用するレンズだ。同様に全域でF4なので、ズームの過程で明るさが変化する心配もない。しかもズームリングの動きがとてもなめらかで、ビデカメラ並みのズーミングも可能だ。
 この2本のレンズを持って行けば、ほぼすべての状況においての画角をカバーできる。(トータルで28mm〜200mmの域をカバー)すばやく、的確な画角を探ることができるのは秀逸なズームレンズのおかげである。


コメント撮りでは欠かせないプロンプター

MPL-S1MPL-S1はシンプルなプロンプター
取材先では、カメラ目線でのコメント撮影もよくある。しかし実際の取材先では取材対象者がセリフを覚えることが出来ず必要以上の時間がかかってしまう場合が多い。(原稿は数日前に渡ってるのだけれど‥)ましてや時間がタイトなタレントさんなどは、いちいちセリフなど覚えていられない。カンペを出そうもんなら、そちらに目線が行ってしまい自然なコメントでは無くなってしまう。そんな時に重宝するのがプロンプターだ。弊社で使用しているプロンプターはLife-onというメーカーのMPL-S1。このプロンプターはユニークだ。A4のコピー用紙に文字をプリントアウトし、原稿台に置くだけでカメラのレンズ前に原稿が現れる。電子プロンプターほど大掛かりでなく、持ち運びも気楽である。またその場でA4のコピー用紙に手書きしたものも使用できるのでとても便利。ただ暗い場所では原稿が見づらくなるので、なんらかのライトで原稿を上から照らして上げる必要がある。弊社ではホームセンターなので売っているクリップタイプの蛍光灯ライトをプロンプターにくくりつけて使用している。カメラ目線でのコメント撮りを短期間で終わらせる秘策として起用している機材で、正直あまり教えたくない便利グッズだ。取材先ではタレントのマネージャーさんも感謝感謝のグッズである。もちろんEOSでの取材撮影にも有効。経営者の決済説明やタレントさんの一言メッセージなど、多くの場面で利用価値が大きかった機材の一つだ。この機材については、ちょっと面白い事を考えているので、またレビューしたいと思う。
(プロンプターとて人によっては目で文字を追ってしまうのは映ってしまう。原稿をなるべく中央にまとめるなど、工夫が必要)



 最初にEOSで取材したのは5D mark IIが発売されて間もなくの頃、ヘアサロンの機器のユーザーインタビューだったか?当時のディレクターの方がEOS 5D mark II での動画撮影に興味を示してくれ、是非EOSで取材してみようという話になった。まだファームのアップもなくフルオートの時代で、音声もレベル調整など出来るハズもなく、当時はDVカメラに音声を収録していた。モニターアウトを見ていた依頼先のCLの方が「映画みたい」とびっくりしていたのを思い出す。それほどEOSでの映像はインパクトがあった。そしてファームアップが段階的に発表されEOS 5D mark II の動画用途は飛躍的に広がった。弊社でもその流れに乗るだけ乗っかった形で、EOSでの取材を積極的に行ってきた。だが、すべての取材でEOSが有効だとは決して思っていない。適所で無いところでEOSを起用したら、それこを大怪我をするだろう。ましてや背景が単調な、白壁しかない会議室等ではEOSの特性を活かせるわけがない。やみくもにEOSだからいい画が撮れるということでもなく、依頼内容や案件ごとに、内容を吟味し、適所でEOSを起用することで、最大限の映像効果を出せるよう見極める必要がある。


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