2011年4月19日 of GAIPRO.NEWS

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簡単自作、エネループ駆動のHDMI分配機

2011.4.19

HDMI分配

 しばらくDSLRネタが続いてしまう。というのも、ここ最近はデジタル一眼レフカメラでの映像撮影に頼る業務が激増しているからだ。ビデオカメラでは得られない驚愕な高画質での撮影をするべく、やはりお客様からのリピート依頼が多い。しかしながらデジタル一眼レフは映像専用に作られた機材では無いというのは周知の事。それゆえにビデオ撮影においてはいろいろな創意工夫が必要になる。逆に言えばデジイチでの撮影技術は経験とノウハウのたまものかと思う。今回は創意工夫という意味で、安価で気楽に作成できる乾電池駆動のHDMI分配機の作成例を紹介したいと思う。


どうしても電源が必要なHDMI分配機

EOS UtilityEOS Utilityの使用で映像分岐
以前ここのニュースで書いたように、弊社では一眼レフでの映像撮影のメインにEOS7Dを使用している。しかしながらEOSシリーズは映像のモニターアウトは1系統のみ。カメラ背面の液晶ビューに表示させるか、HDMIで1つの外部モニターに表示させるかになる。HDMIで出力した際はカメラ本体の液晶はブラックアウトする。苦肉の策でUSB経由でPCのEOSユーティリティー上に映像を表示させる方法もあるが(この場合はPCと、本体もしくはHDMI経由のモニターと2系統に映像を出力可能)PC側での映像はなめらかに再生されないため、録画中での用途は難しい。そこで、カメラマン用とDr&クライアント用の確実なモニターアウトを用意するため、どうしてもEOS本体のHDMI出力を2系統に分配する必要が出てくる。しかしながら現在市販されているHD画質で分配するスプリッターは、筆者の知り得る範囲では、すべて電源が必要。弊社で使用しているテック製のコンパクトHDMI分配機も小さいながらDCアダプターでの運用になる。これでは現場でいちいち電源を探す必要があり、特に外ロケでは運用が厳しい。なんとかこの分配機をバッテリー駆動できないかと探りに探る日々が続いた。


エネループ4本直列の電圧に注目

HDMI工作高校生以来の電子工作
弊社にあるテック製のHDMI分配機に付属するDCアダプターの表記をよく見てみると、outputの所に、5V=1Aの文字が記載されている。ということは、この条件を満たすバッテリーを繋げてみれば駆動するのではないかと素人考えを巡らせ、いろいろ調べてみたところ、eneloop mobile boosterなるものが、ちょうど5V=1Aの出力っぽい。USB-DCプラグのケーブルを用意すれば使えそうだとほくそ笑む。が、お値段が5千円そこそこ。実験として購入するには若干勇気のいる値段。ということで他の方法を模索。ここから派生していろいろ調べていく過程で、どうも携帯電話やiPod系のバッテリー自作に近いものを感じた。そんな中、ニッケル水素充電池のeneloopを4本直列に繋げると、4.8V=1.2Aの出力が得られるという情報を得る。これはかなりの近似値。そこで、思いつくまま秋月電子通商で、単三電池ボックス(150円)とDCプラグ(40円)を購入。これだけだったらわずか190円で実験が可能だ。しかしながら送料で結局990円に。送料のほうが高く付いた。注文して中一日で商品が到着、とりあえずハンダ付けなどは後回しにして、HDMI分配機が駆動するかどうかを実験してみる。


eneloopeneloop4本直列で駆動が可能!
7Dをテック製分配機を介して、それぞれ2台のモニタにHDMI接続。購入した電池ボックスとDCプラグは簡易的に極線をからめた程度で、DCプラグを分配機につなぐ。電池ボックスにeneloopを4本セットし、スイッチオン!おおっ!映った。2台とも問題なく。かなり感動。この状態でどれくらいもつかは未知数、しかも安定回路もないので分配機にどれほどの負担がかかってるのかもわからない。ただ自己責任という範囲で、とりあえずはこれで運用できそうだと判断する。万が一分配機が壊れたとて3000円程度の損害であれば諦めもつく。


実用に向けて多少の工作

ハンダ付けDCプラグと極線をハンダ付け
実験が成功したところで、今度はきちんとバッテリー型分配機としての完成品を作る。といっても簡単。電池ボックスから出ている極線を適度な長さにカットし、購入したDCプラグをハンダ付けして完成。(購入したハンダゴテセット)ものの数分で終わる。これがあれば必要に応じてバッテリー(eneloop)駆動、DCアダプター駆動と使え分けられる。注意したいのは、電池はかならずeneloopを使用するということだ。市販のアルカリ電池だと、電圧が1本あたり1.5Vなので、4本だと6Vになってしまう。また容量次第で電圧の落ち方が激しいらしい。その点eneloopは1本あたり1.2Vで、しかも比較的電圧が安定しているらしい。充電池という部分でもエコである。


HDMI分配機マジックテープで2つを張り合わせ
テック製のHDMI分配機は、今回購入した電池ボックスとほぼ同じ大きさ。ケーヨーD2で買ってきたマジックテープ(強力タイプ)を分配機と電池ボックスに貼って2つを張り合わせる。面倒なら太めの輪ゴムで束ねても良い。見事、コンパクトな電池駆動のHDMI分配機が完成した!あとはうまく三脚等に設置できれば。筆者はプレート中央に両面テープなどで簡易に貼るか、アマゾンで購入したサンコ- 自転車ケイタイホルダを利用してみた。うーん、いい感じ。まさに機材マニアの自己満足(いやいや、これは現場でかなり役に立ちます!


HDMI分配自転車用携帯ホルダーを利用して三脚のパン棒に装着

現場で威力を発揮。名付けてeneloopスプリッター

eneloopスプリッター4時間半でようやくモニターアウトした。
さて、実際にどれくらい使えるかを実験してみた。映像を映し続けるために今回はZ5JのHDMIスルー映像で実験。Z5Jと7インチモニターを一つのプレートにまとめ、分配機を介してもう一方の7インチモニターにHDMIをつなぐ。満充電してあるeneloopをセットし電池ボックスのスイッチをオン。この状態で映像を送り続けしばらく置いてみた。結果として4時間30分経ったところでモニターがブラックアウトした。故障の可能性もあるので、念のため新しい充電済みのeneloopに交換したら問題なく出力が継続した。このことから、いろいろな条件化で使用を考えると、実際の使用可能時間はeneloop満充電で3〜4時間というところか。これなら十分実用可能だ!量販店で手軽に手に入るeneloopを数本用意しておけば1日に2回程度の交換で済む計算だ。しかもまた充電すれば済む話。こんなに手軽にバッテリー化ができてしまうとは、やってみるものだ。専門の機材屋さんでは数万/1日でこういったシステムをレンタルしていることを考えると、かなり安価でシステムが組めたというのも大きなニュースである(ただSDI出力ではないが)。これで、今後あらゆる現場で弊社のEOSムービーシステムの真価を発揮できそうだ。


この記事に関してのご意見ご質問

お名前 : SENRI
本文 : 初めまして。大阪の技術会社のものです。このスプリッターは便利ですね。私はCLM-V55を2台繋ぎますがフォーカスもよく見えます。TEC片方の出力を分配しても問題なく出力できました。さすがに安いだけ有ってすでに売り切れになっています。買っておいてよかったです。

【筆者より】
おそらく最初にエネループ駆動の分配機を作ってみたいと思ったのは、御社ブログを見てからだと思います。その節は大変お世話になりました。電子に弱い筆者なもので、最初はご連絡とらせていただき、工作をご依頼しようかと思ったのですが、結局自分でしらべて作るに至りました。御社ブログでは、電源要らずの激安HDMI分配機は問題なく1080で出力されているとのことで、今一度わたくしも調べてみようかとおもっております。とりあえずEOSではダメっぽいです。GH2とZ5Jで調べてみます。TECの分配機は秋葉原いくと山積みされております。通販では品薄みたいですね。CLM-V55は物欲そそるモニターです。でも買ったら弊社、モニターだらけになりそうなので、グっとこらえております。コンパクトで使いやすそうです。

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IMG_0060.JPGハンダ付けは一カ所のみ
IMG_0062.JPG奇麗にまとまった