2011年4月7日 of GAIPRO.NEWS

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ファイルベース収録のドロップアウト(CF編)

2011.4.7

HVR-MRCK1

〜Z5J+HVR-MRCK1の収録において〜

 テープ収録において、これまでプロの現場では「ドロップアウト」が避けられなかった。業務用のテープは高品質とはいえ万全ではない。なにかの拍子で信号が途切れ映像が乱れることもある。アナログの時代は、画面に線が入ってきたり、画面自体が乱れるなどの現象であったが、デジタルになると、画面がモザイクになったり、ひどいときはブラックアウト(カメラによってはブルーアウト)した。稀ではあるが、テープで収録している以上避けられない現象だった。これに涙した人は少なくないだろう。
 そして時代はテープレスへ。ハードディスクやSDカード、コンパクトフラッシュといったテープではないメディアでの収録が一般化しつつある。そんな中、「テープじゃないからドロップアウトの心配は無用」といった誤った認識もチラホラ。実は筆者もそう思っていた(笑)しかし、先日、痛烈なドロップアウト現象にみまわれた。舞台での撮影素材であったが、幸い数カ所からパラで収録していたので、ドロップアウト部分は他のカメラにスイッチングすることで難を逃れた。ただそれはそれで、テープじゃないのにドロップアウトが起こるのか!と再認識した。テープレスでのドロップアウトには様々な要因があり、一概に何が原因でドロップアウトが起こるかは特定できない。メディアの転送がおいつかなったり、一時的なマシンスペックダウンだったりいろいろだ。ここで断っておくと、筆者の言うドロップアウトとは、今回に限っては「コマ落ち」である。今回はコマ落ちが発生したZ5JとHVR-MRCK1の組み合わせの件で、いろいろわかったこと、筆者の憶測も含め書いてみたいと思う。


何故か同期がとれない4カメのタイムライン

マルチクリップFCPマルチクリップ作成画面

今回の素材は、弊社関連の劇団「Theatre劇団子」の公演収録映像。現場ではZ5Jを4台体制でHDVにて収録していた。テープ収録だと80分が限界だ。芝居は2時間を超えるため、メモリーの単体収録に切り替えた。(Z5Jはテープとメモリーのハイブリッド収録も可能)全部にHVR-MRCK1を装着しサンディスクのExtremeシリーズ32GBコンパクトフラシュで収録。リード・ライトともに十分すぎる性能のCFだ。舞台は1日に2公演。いつも1公演目(マチネ)の収録は予備で、2公演目(ソワレ)を本番収録としている。そこで、1公演目の収録がおわると、一旦全てのCFを回収し、Macにてimg形式で保存する。保存された映像が確認できたら一旦フォーマットして次回収録に備えた。収録後日、FinalCutProの「転送と切り出し」ですべての収録映像を取りんだ。マルチクリップを作成するため、1公演目、2公演目と別々のシーケンスにそれぞれの映像を並べ、一旦同期をとる。しかしそこで問題発生。1公演目はカメラの同期がとれたものの、2公演目はどうしても後半で同期が大幅にずれる。原因を追求すると、あるクリップでコマ落ちが発覚。もっと細かく調べて行くと、ぞれぞれのカメラで全5カ所にコマ落ちが発見された。そういえば以前、知り合いのカメラマンに「HVR-MRCK1ってコマ落ちしませんか?」と聞かれたことがあった。筆者はその時、その質問に上の空だったことを思い出した(汗)。なかなか2時間を超える長尺の素材をそのまま使うことが無かったので、気づかなかっただけなのか…。


SONYのサイトで公言されていた「コマ落ち」の可能性

FinalCutProFCPの「切り出しと転送」環境設定

他の仕事そっちのけで必死で原因を追求していた最中、SONYから無償で提供されているのFinalCutPro用のプラグイン「Sony Recording Unit RAD Plugin」のお断り文に目が止まった。内容からすると、どうもFAT32でのファイル分割が原因のようだ。特にHDVなどのlongGOP(フレーム間圧縮)の場合、データ分割される場所によっては結合時にコマがつながらないことがあるとか。そこでハっとした。そういえばCFのデータを一旦img形式で保存した1公演目の映像については顕著なコマ落ちが見られなかった。直接コンパクトフラッシュからFCPに取り込んだ2公演目の映像において頻繁にコマ落ちが起こっている。これに因果関係があるとすれば…(ってミステリー風に言ってみる)


CFから直接取り込むより一旦img形式で保存したほうが良い?

img形式で保存img形式で一旦保存
ここからはあくまで筆者の憶測だ。CFのフォーマットはFAT32。4GBを超えたところで映像データは分割される。その状態から直接FCPで読み込むと、結合する際にコマ落ちが発生しているのではないか?しかしながら一旦imgでマックのHDに保存したデータはHFS+に存在するデータ。なんとなくのイメージだが、分断されたデータがまとまっているので、コマ落ちが起こる可能性が低い?筆者は決してコンピュータのプロフェッショナルではない。あくまでイメージで書いているが、そんな感じ。(どなたかエンジニアの方がこのレビューを見ていたら正確な答えを教えてください。)とにかくHVR-MRCK1で収録したデータに関してはCFからFCPの直接の読み込みは避けて、一旦img形式(筆者は「読み出し専用」の形式にしている)でHDに保存、それをデスクトップにマウントさせた状態でFCPから「切り出しと転送」で取り込んだほうが良さそうだ。しかしながらimgで保存しておくメリットはあって、複数のCFのデータを一度にFCPに取り込む事も可能になる。(すべてのイメージを立ち上げておけば、切り出しと転送ですべての映像がマウントされる)バックアップ含め、撮影データのアーカイブも同時に行える
 今後運用する中で、また新たな事実が分かってくるかもしれないが、テープ時代のドロップアウトと違うことは、原因がわかればドロップアウトは比較的避けられるのかもしれない。そこで原因をうやむやにするのでなく、きちんと追求することが大切かと思う。


補足(CFリーダーに関する事)

AKB-CRFW8FW800接続のAKB-CRFW8
 今回の一件は秋葉館で発売されていたAKB-CRFW8を使用しデータを取り込んでいる。FW800接続で、データのやりとりも他のリーダーに比べて格段に早い。このリーダーが原因とは思っていないが、以前、某メーカーの安いCFで、単純にドラッグ&ドロップでコピーしたデータに関しては頻繁にデータの破損が見られた。(特に写真データ)しかしimg形式(読み出し専用)で一旦保存したデータはデータの破損は見られなかったため、それからというものCFのデータはimg形式で保存するクセがついている。弊社では撮影済みのコンパクトフラッシュのアーカイブはすべてimg形式で管理している。



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