2011年4月2日 of GAIPRO.NEWS

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ファイルベース時代のMA

2011.4.2

MAスタジオ

 映像制作の最後の仕上げ、MA。マルチオーディオの略で業界では呼ばれてきたが、最近になってこのMAという作業も多様化を迎えている。一昔前のMAでは、音のすべてに関する作業をしていた。映像に入っていた現地音に加え、BGMから効果音、そしてナレーションをあてていく、最後にオペレーターがガチでミキサーで各トラックをアップダウンしていきながらテープに音を戻す。これこそがMAであった。しかしながらPCの普及で、映像編集ソフトである程度のことが出来るようになった昨今、MAは音のミックスの場というより、最終試写の場といった意味合いが強くなった気がする。どういうことかというと、ある程度の音は編集時に入れてしまい、最後に快適なスタジオ空間でナレーションをしっかり収録しながらお客様に試写いただく、この作業がMAになっていたりする。前置きが長くなってしまったが、このMA作業、いままではテープでスタジオに持っていって、音を吸い上げてもらい、MIX、その後音をテープに戻して完了であったが、ファイルベースの時代に、この作業がわずらわしくなってきたのは事実だ。しかもテープの場合は、いちいちフォーマット化し、タイムコードにそってカラーバー、クレジット、本編とテープに編集していかなければならず、フォーマット作成も意外と手間なのだ。そんな中、最近では、映像ファイルでMAを受け付けてくれるスタジオも増えてきた。QuickTimeムービーで渡して、それをスタジオのソフト上(大抵はProTools)のタイムラインにそのまま乗っけてもらい、モニターにプレイバックしてもらう。このやりとりはかなり快適だ。そこで、ファイルベース時代のMAと題して、筆者がいままでファイルベースでのMAでわかってきたことなどレポートしてみたいと思う


MA用のテープをスタジオに持ち込む手間

SONY DSR-40SONY DSR-40

MAの際、音と映像の同期をはかるため、今まではタイムコードでフォーマットに仕上げてスタジオに持ち込んでいた。うちの会社はFinalCutProがメインストリームのため、シーケンスからのTCごとの書き出しが出来ない。(FCP3で一度可能になった時期もあったが、正確性が保証されないため機能が排除された)そこで、58分15秒からのシーケンスを作り、そこにカラーバー、1k(-20db)、59分30秒からクレジット、1Hより本編スタート(-10db近辺をピークにノーマライズ)といった具合に編集し、最終的に58分からTCを入れてあるDVCAMテープにアセンブルで書き出していた。書き出しはFinalCutProの「テープに編集」機能を使って、58分15秒から書き出す設定でFireWire側でデッキを制御し録画する。筆者の経験からオフセット値は15フレ。そこで、シーケンスの書き出すタイミングを15フレ遅らせると、ぴったり書き出せる、といった半ば強引なやり方でテープをフォーマットに仕上げていた。ただFireWire制御のため、まれに1フレずれる。ただあくまでMA作業用なので、放送用でなければ1フレのズレは許容してもらってた(笑)。


映像ファイル(QT)でMAする場合のTCの扱い

FinalCutProタイムコードリーダーでTC埋め込み

テープのフォーマット編集は実際手間である。しかも最近はほとんどがナレーション収録のみで、音は最終的にFinalCutPro上で調整することになる。音をテープに戻す必要が無いのだ。となればFinalCutProのシーケンスをそのまま書き出したQuickTimeムービーで作業したいものだ。あるMA室では、テープで同期しながらではなく、一度PCに映像データを吸い上げて作業していた。どういう機能かわからないが、それが可能ならQTファイルで持ち込んで作業するのも可能なハズ。そこで筆者は馴染みのスタジオにDV_NTSCのQTファイルで持ち込んでみた。シーケンスはFinalCutProでは1Hからのスタートがデフォルトである。しかし、作業自体は可能であったものの、スタジオではQTにうめこまれたTCが表示できない。そこで映像自体にTCを埋め込んでワーク用としてスタジオに持ち込む。TCの埋め込みはFinalCutProの「タイムコードリーダー」を使用する。編集したシーケンスをネスト(入れ子)して、ネストしたシーケンスにタイムコードリーターのエフェクトをかける。するとシーケンスのTCがそのまま映像にテロップとして載る。サイズと場所を調整して(通常は画面上中央)シーケンス全体をQTムービーに書き出す。そのデータをハードディスクなどでスタジオに持ち込んでProToolsに取り込んでもらえば通常のMA作業が可能だ。MA後の最終試写はTCが埋め込まれていない同様のQTムービーに置き換えてもらう。これで何の問題なく最終試写が可能。尚、これはMac版のProToolsが前提。ただ多くのMA室はMacのToolsを導入している。


DV-NTSCでは何故か画質が汚い。そこで…。

QuickTime設定画面非圧縮 8ビット 4:2:2を選ぶ
ひとまずはファイルベースでのMAは可能になった。しかしながらDV-NTSCをToolsからモニターアウトすると、何故か画質が汚い。解像度が1/2くらいに落ちた印象だ。スタジオの環境によって、これはマチマチだが、とあるスタジオでは見るに耐えないくらいに画質が悪くなり、お客さんに謝った経緯がある。(「本編はこんなに画質悪くありませんので」と)そこで、奇麗に見せられる方法を模索していたところ、いつもお世話になっているKVCのMAのプロの方から耳よりな情報を得る。コーデックをDV-NTSCでなく「非圧縮 8 ビット4:2:2」 の720x480 29.97 で書き出せば、奇麗になるとのこと。そこでさっそく試してみた。残念なことにKVCさんでなく、違うスタジオであったが、見事に奇麗になった!まるでハイビジョンにしたのではないかと思ってしまうくらいに(あくまでSDです。)ただ、DVにくらべて転送レートが上がってるので、作業途中では映像がカクつくこともあった。しかしながら作業にはなんら支障は無い。最終試写は収録の負荷もかかっていないので、完全なる奇麗な状態で試写が可能であった。この方法を試した先のスタジオのオペの方も一緒に喜んでくれた。今後はファイルベースのMAが多くなると思われるが、そういう意味でも筆者としては大きな一歩であった。(ただ、そもそもToolsでDV-NTSCが画質が悪くなるのが解せないのだけど)ちなみに、非圧縮 8ビット 4:2:2 にすると、ファイルサイズはDVの5倍程度にふくれる。筆者の作業は10分以内のVPが大半なので、なんら問題ないが、長尺のMAの場合はかなりのファイルサイズになるので注意が必要だ。

注釈:H264など、デコードに負荷のかかるファイルはMAには向かないので注意です。またHDでの試写の場合はファイルベースではまだまだ厳しそうなので、MA作業を上記のようなSDでやって、最終試写の時、HDのテープ(HDCAMやHDV)で同様の映像を持っていって同期とって試写するといった方法でやっています。



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