2015年9月29日 of GAIPRO.NEWS

iPhone6s

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想像を超えたiPhone6sの4K動画

2015.9.19

iPhone6s 故、スティーブジョブズがこの世を去ろうとした直前にリリースされたiPhone4sはかつてフルHDでの撮影と指先映像編集を可能にした「携帯電話」でした。やっとフルHD環境に移行したかという時代に、携帯電話だけでフルHDの撮影編集が完結してしまうというのは衝撃的な事実で、弊社のNewsでも記事として取り上げたのは記憶に新しいです。あれから4年余、今回リリースされたiPhone6s、今度は4Kでの撮影及び編集が可能になりました。世の中4Kの編集環境すらまともに整っていないプロダクションも多い中、今度は携帯電話だけで4Kが完結してしまう、という訳です。「それ必要なの?」という意見もあろうかと思います。誰が、何故に携帯電話で4K撮るの?どこからともなく、ささやきが聞こえます。もっとも4K動画が撮影可能なスマホはiPhoneが初めてではありませんが、おそらく詳細な4K動画編集まで出来てしまう部分は今の所唯一無二と見ています。今回は完全なる弊社目線で、iPhoneが4Kに対応したという事はどういう事なのか?業務として役立つ事はあるのか、というのを見て行きたいと思います。まずは以下の映像をご覧ください。この映像は基本的にiPhone6sで4K撮影していますが、一部GH4の4K映像が混じっています。(GH4のピクチャースタイルは”スタンダード”)みなさん、どれがiPhoneでどれがGH4の映像かわかるでしょうか?答えは映像下のタブをクリックすると出るようにしておきました。是非、肝試しをしてみてください。



環境が許す限り4Kでご覧ください。

答え合わせは、このバーをクリック!

Information.png回答
A=iPhone6s:B=GH4:C=iPhone6s:D=iPhone6s:E=GH4:F=iPhone6s:G=iPhone6s
H=GH4:I=iPhone6s:J=iPhone6s:K=GH4:L=GH4:M=iPhone6s:N=iPhone6s:O=iPhone6s

 みなさん、どれがどの映像だか分かりましたか?4Kの視聴環境がある方は注意深く見れば分かったかもしれません。いや、分からなかったかもしれません。ヒントとしては、さすがに50Mbps?の画質は動きの激しい部分ではツラく映ります。またわずかながらiPhoneで撮影した映像は手ぶれ補正時の動体歪み(コンニャク現象)が出ています。(特にスライダーをいいかげんに動かした際のブレによるコンニャク現象はかなりツライ)しかしiPhoneの映像がGH4の映像に混じっても、まったくと言っていいほど違和感無かったのではないでしょうか?むしろぜんぜんアリなレベルかと?これなら、いざという時にiPhoneで撮影した映像は普通に業務に使えるレベルかもしれません。例えば、通常のカメラでは撮影困難な場所でウェラブルカメラも用意していなかった場合、iPhoneで撮影するケースは増えてくると思います。(しかもウェラブルは広角歪みが出やすい)ダイナミックレンジこそ、一昔前のビデオカメラのようで、ハイキーやローキーの表現は乏しいです。またローリングシャッターでの胴体歪みも顕著です。しかしその特性こそ、映像のプロフェッショナルの方が分かった上でうまく運用すれば、普通に業務に使えてしまうのがiPhone6s(6sプラス)だと確信しました。撮影していた時点では、これが実際4Kクオリティーなのか?正直ピンと来ていませんでしたが、ロケ後に弊社へ戻り4K環境で視聴してみると、そのクオリティーに驚愕してしまいました。
今回は、できるだけiPhone撮影でのボロが出ていない素材を使っています。後述しますが、所詮iPhoneという部分は撮影素材によっては確実に現れます。しかしながらボロが出ない素材を撮れてしまう事自体は評価すべきです。

尚、答え合わせが面倒な方は以下の映像をご覧あれ、どれで撮影したかテロップ入れてあります。



環境が許す限り4Kでご覧ください。


iPhone4K映像の価値を上げる3軸スタビライザー

iPhone6sバランス取りに苦労したiPhoneでのクレーン撮影
 ところで今回は、iPhoneの映像でどこまで戦う事ができるか?を見てみたかったので、通常の映像撮影と同じように、普通にスライダーに乗せ、クレーンに搭載して撮影してみました。結果として、そこそこ高品質な映像は撮影できたものの、残念ながら弊社では今後このようにiPhoneで撮影する事はまず無いと思います。通常業務であえてiPhoneで撮影する意味は無いからです。(Appleからのお仕事だったらありえますがw)しかし、今回もっとも価値を見い出したのは3軸を使ったスティディーショット撮影でした。昨今の撮影現場ではMoVI等のブラシレスモーターを利用したスタビライザーが一般的になったものの、これまで弊社はあまり目が向きませんでした。ワンマンが多い現場で、1日に撮影できる分量を考えるとスタビライザーまで手が回らない、というのが主な理由です。気楽なスタビライザーが出てきたのも知っています。FY-G4シンプルなデザインとコンパクトさが売りのFY-G4
しかし結局はシビアを求めるが故に調整に手間取ったりで、現場でかさばる機材になってしまうのでは?という印象がありました。(スタビライザーはマーリンでも懲りている)しかしiPhone程度ですと、スタビライザーもかなり小型になり、求める”質”への割り切りも良くなります。「所詮iPhoneの映像でしょ?」が前提になるのであれば、これほど高品質な映像が気楽に撮れてしまえるものはありません。業務で使えないレベルかと思えば、そうでもありません。今回4K対応になった事で映像自体はかなり高精細になりましたし、フルHD編集をターゲットに考えた場合はぜんぜん”アリ”なシステムです。iPhone対応の三軸ブラシレスジンバルは数種類出ていますが、弊社が買ったのはFEIYU社のFY-G4というものでした。かなりコンパクトに出来ていてモードも持っ手の親指ですぐに変更できるのが気に入っています。(各種フォローモード等)気になる精度は、他のものと比較した事が無いのでわかりませんが、概ね満足しています。
FY-G4バランスは完全に取れてはいないが、今のところ問題なさそう今回のiPhone6sでは電源OFF時に完全にバランスが保てないため多少モーターに負担がかかっていると思いますが、iPhone自体がそれほどの重量でないので、影響は少ないように感じました。もちろんはげしく動かした場合、動作が破綻してビクビクとなる場面もあります。しかしマーリンでかなりシビアな扱いに慣れている方なら、きっと満足する事でしょう。特にiPhone6sには動画撮影時の光学手ぶれ補正が無いため、単純に手振れ補正的な使い方でも威力を発揮します。しかも、あくまでiPhoneはケータイ、と考えた場合、弊社ではiPhone6s+(プラス)の選択肢は最初からありませんでした。iPhone6sと3軸の組み合わせは、業務の現場でうっかり使ってしまう確信犯的な機材として、かなり”アリ”だと思いました。実際の映像は、さきほどの比較映像にも入れてありますし、次のトピックスのiMovieで編集した映像にも含まれていますので、ぜひそのクオリティーを確かめてみてください(もちろん、スマホの映像だ、というのを前提でご覧くださいね。)


プロがiPhoneで動画撮影する際の基本、AE/AFロック


iPhone6s四角の枠の横の太陽マークを上下にドラッグするとAEシフトが効く iPhoneの動画は基本的にすべてオート撮影です。ですので、デフォルトでは通常業務のように、マニュアルフォーカスにしたり意図した絞り値で撮影する事は出来ません(露出、ISO、シャッタースピード、WBを調整可能にするアプリは存在する)そこで、現場ではAE/AFロックを積極的に使いました。iPhoneに詳しい方はすでに周知のTIPSだと思いますが、方法は簡単で、液晶画面上をタップし続けると、その部分の露出とフォーカスが固定されます。さらに、そのまま上下にドラッグすれば、AEシフトが効きます。フローとしては、ピントを合わせたい対象物の部分でタップし続けAEとAFを一旦固定、上下ドラッグで意図した明るさにしてRECボタンを押す、という流れです。今回は4Kに対応した動画撮影アプリを探している時間がなかったので(もしオススメありましたら、どなたか教えてください)、この基本的なTIPSですべて撮影しています。ただ、この程度の運用方法こそ、iPhoneで動画を撮る最良のバランスと思っています。慣れてしまえば、意外にも快適な撮影方法だと気づく事でしょう。(ただし、3軸を使った撮影では、場面によりオート撮影で切り抜けています)


4Kに対応したiPhone/iPad版のiMovie

iPhone6s以外にもサクサクと編集でき、4Kなのかと疑いたくなる。今回はiPhoneでの4K映像の撮影クオリティーを確かめると同時に、4sのときにも実践したiPhone内完結型の映像制作というものを試してみました。実はプライベートでは、iPhone4s/5では時折iPhone版iMovieで指先編集を行ってきました。長いもので10分程度の作品を作った事もあります。片手だけで進められる映像制作環境は場所を選びません。ナレーションだってボイスオーバーですぐ入れられます。このすばらしい映像環境は、きっと何処かで活かせる場所があるはずです。(しかし弊社の場合、業務上ではその価値を見出せないまま今日に至るわけですが‥)そして驚愕するのが、このモバイル映像編集は既に4Kまで対応したという事実です。現在、どれだけのプロダクションが4K編集環境で作業をしているでしょう?ちょっと未来すぎませんか?‥とおもわず叫んでしまいますが、今回は興味本位にもiMovieで編集をやってみました。‥驚いた事に普通に4K映像がサクサクっと編集できてしまうではありませんか。しかも4sや5で感じた、多少のモタツキもそれほど感じない。実に快適に指でサッサッと映像を切って切って繋げられます。書き出しも4K対応、Wi-fiがあれば、すぐにYouTubeに4Kアップできます。ここにどんな価値が見出せるのでしょうか?大いに議論したいところです。さて、そんなこんなでホテル滞在中、ベットで寝転んで指先だけで編集し、その場でYouTubeにアップした映像がコレです。

環境が許す限り4Kでご覧ください。

 余談ですが、タブレット編集の感覚に慣れていくと、いよいよFinalCutPro for iPad/iPhoneが欲しくなります。特にiPad Proの発売も控えているApple。フィルム編集経験者なら共感を呼ぶかもしれませんが、動画を指で切って、指でつなげる、これ、フィルム編集そのものですね。もうマウスやペンタブの時代じゃないかもしれません。もともと映像はそうやって繋がれてきたのです。弊社は今後の指先編集の進化を見守ろうと思います。


(おまけ)スライダーに便利なedelkroneのFLEXTILT HEAD

FLEXTILT HEAD水平、垂直が独立して駆動でき、シンプルな構造が秀逸の一品 今回、比較映像の撮影中で使ったedelkroneのFLEXTILT HEADが思いのほか威力を発揮したので、少し書いておこうと思います。スライダーにカメラを取り付ける際、スライドヘッドにビデオ三脚の雲台を取り付けて運用する事が多いと思いますが、DSLR程度の撮影の場合、もっとシンプルなスタイルが望まれます。弊社の場合、コンパクトにスライダー撮影を行う際は、これまでSLIKのレベリングユニットをスライダーヘッドに取り付けていました。しかしよくあるスチール用の雲台やレベラーだとカメラの方向を単に回転したいだけの場合、水平・垂直の動作が独立していないため常に水平を気にする必要があます。レベラーにいたってはカメラを上下に向ける角度も狭すぎて難儀していました。edelkroneのFLEXTILT HEADは水平・垂直が完全に独立で駆動でき、かつ目的の角度にすばやくカメラを向ける事が出来たので、現場では想像以上に重宝しました。これで弊社のめちゃ軽セットが完結した感じです。edelkroneに関しては「ツメが甘い」等、機材の評価としてはイマイチな印象を耳にする事が多いですが、FLEXTILT HEADはDSLR完結型の現場ではオススメできる機材だと思います。(発売当初はずっとSOLDOUTになっていて最近やっと手に入れる事が出来ました)各駆動部分はほどよい固さがあり、ヘタって角度が変わるような事もありません。もちろん動きの固さは付属のレンチで調整する事が可能です。



iPhone6siPhoneの固定方法は考えもの。軽いものだとちょっとの微振動も影響するさて、いろんな意味で衝撃的だった、今回のiPhone6sの4K映像制作。最後に、iPhoneで4k動画を撮影してみて、いろいろ分かった事があったので、それを述べて締めくくりたいと思います。
 今回、出来る限りスマホ映像らしさを無くそうと、ほとんどのショットをスライダーに乗せて撮影してみましたが、後に弊社の4K環境で編集していて、これが完全に仇になってしまった事が発覚しました。今回使用した小型スライダーだと、そこそこの微振動が影響するようで(本体が小さく軽いだけに余計に)、その微振動が動体歪み(コンニャク現象)として画面に現れてしまったのです。以上の事から、iPhoneで4K動画を撮影する際のポイントとしては、1)なるべくブレを軽減して撮影する事 2)特にスライダー等で撮影する場合は微振動でもかなりシビアに動体歪みが出るので注意する事 3)3軸等のスタビライザー等を使う事 という感じです。もっとも固定で撮影すれば、場面によっては、正直iPhoneなのか、巷の4Kシネマカメラなのか、一瞬では判断つかないほどのクオリティーで撮れてしまいます。(室内とかでは感度により差が歴然ですが)。この事実をどう捉えるかは、みなさん次第です。今後、弊社の実際の業務現場では使うことがあるかもしれません。その際はまたFacebookでレポートしてみたいと思います。


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【GAI News.111020】携帯一つでフルHD映像制作
【GAI News.130911】最小で最大の撮影を実現させる機材選び

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