2010年11月28日 of GAIPRO.NEWS

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EOS 7Dでドラマ形式の企業VPを撮る

2010.11.28

P1000200.JPG

「EOSムービー」という革命


 知り合いの雑誌カメラマンから「今度出るEOSはフルハイビジョンが撮れるらしいよ」という話を聞いたのは一昨年前の夏。実はその前からデジタル一眼のCMOSには注目していた。当時ニコンのデジタル一眼で連写した写真画像を映像化していた筆者は、いずれこのCMOSで動画が撮れる時代が来る事は容易に想像できたからだ。あとは各メーカーの政治的な部分だけだろうと思っていた。そしてEOS5DMarkⅡが発売された。その後の展開は想像をはるかに超えていた。これまでにない映像が、これまでにない手軽さで手に入る。まさに革命だった。迷わず発売前のEOS5DMarkⅡを予約、発売後、フルオートという制約がありながら、現場での使用を積極的に行った。その現場に立ち会ったCLが、モニターアウトされた映像を見て「すごいですね、映画みたいだ!」と言った。思わずほくそ笑んでしまった。同時に、これは映像業界にとって大変なことが起こるなと思った。


映像制作に最適化された7D

EOS7DEOS7Dに50mF1.8のレンズ
その後、すぐにEOS 7Dが発売された。初期ロットからすべてフルマニュアルの操作が可能な上に、フレームレートは29.97に変更され、720 60Pも追加された。5Dでは録画中にフルHDで出力されなかったHDMI出力も、フルHDで可能になった。まさに映像に特化された感じである。ちょうどその頃、ドラマ形式の企業VPの撮影の話が入って来た。打ち合わせでEOSで撮ってみましょうということになった。それがきっかけになり、物欲を抑えきれず7Dを購入。CLの社員の方が、たまたま7Dを一台所有していたので、それを借りて現場では7Dの2カメ体制で望んだ。5DのフルサイズCMOSに対して、7DはAPS-Cサイズ。被写界深度に関しては5Dほど浅くならないが、十分背景はボケる。このカメラにドリーやクレーンなどの特機を合わせれば、かなりリッチな映像に仕上がる。弊社は基本的に機動力ある撮影で最大限の効果を売りにしている。そのニーズに7Dは見事にマッチしたのだ。


スプリッターでHDMIを分岐しモニターアウト

P1000215.JPGテック製 HDMI分配機
現場ではモニターアウトは必須だ。しかしながらEOSはHDMI一系統しか出力ができない。またHDMI出力時はカメラ本体のライブビューには何も映らなくなってしまう。そこでHDMIを分岐する必要が出てくる。HDMIスプリッターをいろいろ探した結果、弊社では最もコンパクトなテックのHDMI分配器を使用した。こちらで、カメラマン用のモニターと、クライアント用のモニターに出力している。ネックは分配機の電源だ。幸い、今回はほとんどが室内ロケだったため、電源は確保できたが、その都度電源を確保しなければならず、これが結構な手間である。プロ機材ドットコムではDC対応のHDMIスプリッターを発売する予定があるらしいので、注目している。


なるべく余分なものは付けない

P1000194.JPGシンプルな装備雑誌などで、マットボックスやフォローフォーカスなどEOSにいろんなものを付けて大げさにしている記事をよく見る。もちろんマットボックスなどフィルターワークには必須だが、実は見た目的な部分もある。例えば現場に小さな一眼レフが一台置いてあるだけだと、CLとしては「まさかこれで撮影するんですか?」になり、出演者にとっても拍子抜けである。大きな現場であればなおさらだ。そこで、マットボックスやフォローフォーカスを付ければ、デジタル一眼のイメージからシネカメラの雰囲気が出てくるので、それなりに現場の雰囲気は変わる。もちろん、機能的にも便利なわけだが、弊社のような一日に数十カットを撮影しなければならない現場では逆にこの「装飾」がアダになるのだ。頻繁に行うレンズ交換やバッテリー交換など極力すばやく行えるためにあえて素のままのEOSで撮影している。結局はこれが一番早い。三脚にプレートを付けて、横並びにカメラとモニターを装着、これが弊社のスタイルである。CLも逆に新鮮さがあるらしく、興味を持ってくれる。カメラ脇のモニターはSONYのLMD940とマーシャル7インチモニタV-LCD70Pを使用している。LMD940は波形モニターが直接画面に出るので露出を決める際に便利だ。音声は別でDVカメラに収録しているが、ミキサーからワイヤレスで飛ばしてもらってガイド音声としてEOSにも入れている。EOSの音声は圧縮されているので、外部での音収録は必須だ。収録前にカチンコを入れて編集時に同期をとる、これは映画の現場では普通のこと。フィルム出身の筆者はかなりしっくりくる撮影だ。


DSLRの今後

P1000209.JPGこのようにデジタル一眼レフで動画を撮影することを業界ではDSLRと読んでいる。今後の映像業界はこのDSLRが主役になっていく流れの中で、弊社は比較的早くDSLRに注目し実践してきた会社と自負している。DSLRの先駆けとなったREDが発売された当初、価格破壊はあったが、まだまだ弊社のコスト感にはマッチしてこなかった。そこにEOS5DMarkⅡが発売されて、「最小で最大の撮影を提供したい」という弊社の思いが見事にハマったのである。ただすべてがいいことずくめのDSLRではない。現在はピントの合わせ方やローリングシャッター現象という映像の歪み問題などがあり、すべてがこのDSLRで撮影できるといったものではない。ケースバイケースで従来のビデオカメラの撮影とDSLRの撮影を使い分ける必要がある。特に予想できない現場や取材などはまだまだビデオ撮影が確実である。じっくりリッチな映像を撮影したいといった場合はDSLR、短時間で確実な映像をとらなければならない場合はビデオ撮影が妥当である。しかしながら、今後DSLRが盛り上がって行く中で、DSLRとビデオが完全融合する日もそう遠くは無い。メーカーが首をしめる結果にならなければいいが、逆に映像業界が一層盛り上がりを見せてくれることを期待している。

追記:レンズ交換式のビデオカメラは各メーカーが積極的に発表している昨今だが、個人的にはフルサイズCMOSもしくはAPS-CサイズのCMOSを搭載したレンズ固定型のZ5J型のビデオカメラが出ればありがたい。バタついた取材現場ですぐに使えるような、フォーカスなどもAFを搭載した完全なハンディー型のものを。


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