2011年8月13日 of GAIPRO.NEWS

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使える!忍者と最小業務用カメラ【その1】

2011.8.13

XA10+NINJA

 忍者といっても人間ではありません。去年、彗星のごとく現れたATOMOS社のハードディスクレコーダー「ATOMOS NINJA」です。HDMI入力の非圧縮映像をApple ProResといった非圧縮に近いフォーマットで収録してくれる優れものです。(HQ、LT含め3つのProResが選択可能)弊社では主に合成作業を目的として導入しました。そして、これまた業界で評判になっていた超小型業務用カメラ、Canon XA10。同機能の民生機HF-G10をベースとしながら、映像用に特化したCMOSが織りなす圧倒的な高画質は、手のひらサイズのカメラから見ると遥かにオーバースペックに映ります。弊社ではロケ用のディレクターズカメラとして購入しましたが、高い描画力のゆえメインカメラで運用してみたいと思いました。さて、この2機種を使った化学反応、弊社ではとても興味がありました。そこで、ちょうど某雑誌社からのお仕事で、トミカ博にて映像素材撮影を行う機会がありましたので、さっそくNINJA + XA10を使試してみました。今回は2回に分けて現場での使い勝手や画質を含めレポートしてみたいと思います。第1回目は現場での運用レポです



利用価値大のATOMOS NINJA

NINJAProResでファイルベース収録 まさにファイルベース時代にふさわしい製品で、2.5インチのハードディスク、もしくはSSDにHDMI経由でHD映像を直接映像データを記録する、とてもコンパクトなフィールド収録機です。Apple ProResといった映像フォーマットはFinalCutProを導入しているポスプロなど業界では一般的なファイルフォーマットとなっています。ProResは10bit 4:2:2 記録のため、HDCAMやDVCPRO HDなどと同様、通常の放送用レベルでの映像品質といえます。つまり簡単に言うとHDMIから出る非圧縮のHD信号をNINJAで収録できれば、HDCAM収録と同様かそれ以上のパフォーマンスで収録出来ることになります。例えば、いままでHDVやAVCHDなど民生フォーマットで圧縮されて収録していた素材も、HDMI経由でNINJAで収録すれば、大型放送用ハイビジョンカメラ並みの高画質で収録できてしまいます。もちろん、レンズやその場のライティングなど他の要素では差が出てきますが、合成用途には非常に強力で使える収録機となるでしょう。クロマキー撮影やAfterEffectsでの合成素材には特に威力を発揮しそうです。
NINJAタッチパネル式でモニターも兼ねる
 NINJAの運用方法は主にバッテリーですが、特筆すべきなのはバッテリー取り付けは2カ所あり、一方のバッテリーが無くなると片方のバッテリーに移行する仕組みになっています。これにより、収録途中で中断すること無くバッテリーをリレー交換できるようになっています。さらに付属のバッテリーはSONY L型バッテリーと同様ですので、Z5JなどのSONY製のカメラのバッテリーをそのまま転用出来ます。現場ではセットに付属のバッテリーを2つ取り付けて運用しましたが、結局一度も交換することなく撮影が終了しました。画面全体がタッチパネルとなり一連の操作が出来ますが、タッチパネルがそのままモニターにもなるため、入力映像を確認しながらの収録も可能です。現場ディレクターにはNINJAでモニタリングしてもらったので、別途モニターを用意する手間が省けました。本当によく考えられている収録機で、その上とてもコンパクトです。メーカーがファームウェアを定期的にアップデートしてくれるおかげで、さらに使いやすく高機能になってきています。ATOMOS社のいいところはユーザーの要望を比較的短期間でファームで実現してくれている所、ユーザーの視点に立って商品開発してくれていることに感謝するばかりです。


手のひらサイズの業務用カメラ、Canon AX10

XA10LXR付きハンドルは脱着式 何をもって業務用と言うのか、という疑問もありますが、Canon AX10は小型カメラながらLXR音声入力付き、ハンドル脱着式の業務用途を見据えた立派な業務用カメラとなっています。当初はアシスタントに持たせるサブカメラ的な位置づけでXA10を購入しましたが、かなりの高画質だったため、メインカメラとして使用してみたくなりました。問題はカメラの操作性です。小型ゆえズームリングなども無く、業務用途としてはどうしても不安が残ります。そこでビデオサロン編集長のブログで紹介されていたZR-2000というリモートコントローラーを起用し思い切って現場でメインカメラとして使用してみました。トミカ博での撮影は、巨大なジオラマの上でミニカーや電車が動いている様子を付録DVDの素材用として収録するもので、弊社では年に数回撮影しています。今回は保険でSONY Z5Jを持って行きましたが、AX10のコントローラー(ZR-2000)での運用は予想を上回り快適に操作でき、結局Z5Jの出番は無く、すべてXA10で完結してしまいました。ZR-2000本体上のダイヤルでズームスピードが瞬時に変えられるまたCanon AX10は最近の民生機をベースに作られているので民生機ならではの特殊機能が満載、これが現場で意外に効果を発揮しました。たとえば液晶モニター上をクリックすると、その場所のフォーカスを追尾してくれる機能がありますが、動いてくる電車やミニカーにフォーカスを追尾するのに役立ちました。(ただ追尾の精度は限界がありますので、場合によってあフォーカスが外れる場面はありました)追尾だけでなく、フォーカスを合わせたい場所をモニター上でタッチすれば、そこにフォーカスが合います。手前から奥のオブジェクトにピン送りしたい場合は、手前にピンを合わせておき、しばらくして奥のオブジェクト付近をモニターでタッチすればピンが送られます。しかもピント送りのスピードも設定で調整可能です。この操作はとても快適で、後ろで見ていたディレクターも「便利ですね~」と唸っていました。また強力な手ぶれ補正(POWERED IS)は、手持ちで移動撮影した場合にかなり有効でした。ズームに関してもリングが無い代わりに「ソフトズームコントロール」をオンにすることでズームの始まりと終わりをスムーズにしてくれます。しかもZR-2000でLanc制御すればズームスピードをかなり詳細にコントロールでき、超スローズームからスピードズーム、可変も可能です。XA10+NINJAハンドルが有るか無いかは業務用途では大きな差若干の慣れは必要ですが、ZR-2000を三脚のパン棒に取り付けてコントローラーで制御しながら撮影するのはかなり快適でした。また単純な事ですが、カメラ本体にハンドルが有ることがとても重要であると感じました。三脚のボールラベラーの水準を合わす際、カメラのハンドル部を握って水平を合わせるカメラマンは多いと思います。XA10にハンドルがあったおかげで通常の操作性から違和感なく作業が出来ました。画調ですが、民生機がベースになっているため、通常で撮影してしまうと若干コントラストと色味が強い気がします。そこで、弊社ではコントラストを-2、色味を-1に設定して撮影しました。業務機ながら当然すべての設定は電源を切っても記録されていますが、ピクチャー設定のプリセットが作れなかったのが若干残念です。その他、露出やシャッタースピードなど基本的な設定はモニターのタッチパネルで操作する事になりますが、慣れれば現場で使っていても問題なく操作することができました。ZR-2000との組み合わせで使用すれば、メインカメラとして十分現場で使えるカメラとわかりました。あとは視覚的なパフォーマンスの問題だけです。小さいカメラですので、現場によっては「これで撮影ですか!?」とクオリティーに関しては誤解されかねません。ここはTPOに応じてといったところでしょう。


ATOMOS NINJA + XA10という組み合わせ

XA10+NINJAHDMIネイティブをProResに高画質を実現しているXA10を、家庭用のフォーマットで受けるのでなく非圧縮に近い状態で受けたら、ロスレスに近い映像を気軽に手に入れるのではないでしょうか?こんな小型のシステムが状況によっては放送用のHDCAMに匹敵するパフォーマンスを出すかもしれません。特に合成用途やクロマキーには威力を発揮するはずです。まずXA10とNINJAをHDMIで接続し、XA10の「オンスクリーン表示」をオフにしておきます。これで、XA10の「HD CMOS PRO」から読み出された非圧縮の信号がネイティブでNINJAに送られます。あとはNINJA側でProResの種類を設定します。最高画質を狙うのであれば、ProRes422HQということになります。今回はProRes422、後半でProRes422HQにて収録を行いました。現場ではNINJAをクリップホルダーで三脚に取り付けて、撮影の際はXA10本体とNINJAを同時に録画しました。Lanc端子NINJAにはLancの入出力がある。しかし反応は限定的のようだここで惜しいと思ったのは、実はNINJAにはLanc端子の入出力が付いています。しかし残念ながらNINJAはZR-2000には反応してくれませんでした。もし録画スイッチだけでも反応してくれれば、ZR-2000の録画ボタン1つでXA10本体とNINJAを同時に録画開始できます。今回は仕方なく手動で2つの録画ボタンを押していました。是非ともATOMOS社にはファームのアップデートで対応してほしいです。HDMIはホットスワップに対応していて、お互いの電源が付いたままでもケーブルの抜き差しが可能でした。一旦ケーブルを抜いて再度NINJAに刺すと、すぐにモニターに映像が映ります。バタついた現場ではケーブルの抜き差しはよくあること。機器によっては一旦電源を落とさなければならない場合もあるので、こういう細かい仕様もありがたかったです。(頻繁に抜き差しするのであれば強度に注意したほうがよいでしょう。ヘビーユーザーにはHD-SDI接続のモデル「SAMURAI」をオススメします。)現場でのNINJAの収録は非常に気楽でした。画面上のボタンを押せばすぐに録画が始まりますし、HDを抜いて専用DockでPCにつなげれば、すぐにPCでプレイバックが出来ます。もちろん、NINJAのモニターでも映像のプレビューが可能です(最近のファームで可能になりました)なにより手のひらに乗るコンパクトサイズ。コストパフォーマンスの良さは計り知れません。

 弊社が全力でスススメしたい今回のこの組み合わせ。次回は、XA10本体で収録したAVCHDと同時収録したNINJAの実際の画質を比較してみたいと思います。尚、弊社FaceBookページでは、それぞれの機器の詳細もご紹介しています。よかったらこちらもご覧ください。


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