2011年8月25日 of GAIPRO.NEWS

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使える!忍者と最小業務用カメラ【その2】

2011.8.25

ATOMOS NINJA

 先日は超小型業務用カメラ、Canon XA10ATOMOS社のハードディスクレコーダー「ATOMOS NINJA」をHDMI接続し、実際の現場での運用をレポートしました。今回は第2回目として実際に収録した映像の比較をレポートしてみたいと思います。結論から言いますと通常の記録撮影ではAVCHDでの収録で問題なく思いました。ATOMOS NINJAでProRes収録した場合は、撮影後にクロマキー合成を行いたい場合や、カラーグレーティングをシビアに行いたい場合には有効かと思います。ただ、そこまでシビアな撮影をXA10に担わせる場面は結構限定的かもしれません(笑)全力でオススメしたい組み合わせ、と言っておきながら結果として「かさばるよりシンプルにXA10でAVCHD収録」で十分な気がいたしました。Z5JなどのHDVはハイビジョンでありながらちょっと残念な画質のイメージがあったのですが、XA10のAVCHD収録はなかなか奇麗でした。弊社印象の部分は多分にありますが、実際の比較映像を見て行きたいと思います。


ATOMOS NINJAの取り込みはFW800

desktop専用クレードルでFW800接続 ATOMOS NINJAで収録した映像は、HDDカートリッジを専用のクレードルに差し込み、FW800でPCと接続します。このあたりはMacユーザー(FinalCutProユーザー)をターゲットにしている雰囲気です。USB3.0が一般化しているWinユーザーにはあまり歓迎できないかもしれません。クレードルはバスパワーの電源不要で、カードリーダーのように気楽にデスクトップにHDDが認識されます。残念なのはフォーマットがFAT32のみのため、マウントしたHDを直接FinalCutProには呼び込めないことです。そのため編集するには一旦別のHDDに移してからの作業となります。この辺り(HFS+でのフォーマット)はファームで対応してくれると嬉しいのですが‥。Mac、Win凡庸を考えてのことなのでしょうが、ファイルも4GBで一旦分断されてしまうので煩雑になりちょっと残念な部分です。
Macクリップごとにフォルダに分けられる仕様
 収録されたHDDの中身は、テイクやショットごとにフォルダ階層になっています。つまり録画停止のタイミングですべてフォルダに分けられます。この仕様は最初戸惑いましたが、4GBで一旦ファイルが分断されるため、フォルダ構想ごとにクリップをまとめる結果となったのでしょう。1フォルダで1クリップという考え方です。ただし、FinalCutProのシーケンスに映像を配置する際は、フォルダごと呼び込んで、そのフォルダをキャンバスウインドウにドラッグアンドドロップすることで、すべてのクリップが配置されます。収録した映像は直接QuickTime(X)で開くと、なぜか1888x1062のサイズで開きます。プロパティを見ると、フォーマットの欄にApple ProRes 422 (HQ), 1920 x 1080 (1888 x 1062)との表示が。()内は再生サイズなので、元画はフルピクセルで間違いないのでしょうが、腑に落ちません。実際の作業にはなんら支障は無いようですので、いちおうご報告まで。


Canon AX10のAVCHDが意外に健闘

 さて、実際の収録映像を見てみましょう。Canon XA10のSDカードに収録した映像は、一旦FinalCutProの「切り出しと転送」にてProRes422に変換しています。よってファイル自体は両方ともProRes422ですが、オリジナルがAVCHDかProResかということで検討したいと思います。また、XA10のAVCHDの設定は最高画質(MXP 24Mbpe)での収録となります。

PrpRes VS AVCHDクリックでオリジナル画像をご覧ください。
パっと見の第一印象は、正直目を凝らさないと違いはほとんどわかりませんでした。HDVの時はハイビジョンとはいえ残念な画質になる場面がありましたが、XA10のAVCHDはかなり健闘しています。逆にATOMOS NINJAで収録したProRes422の映像は、CMOSの情報をダイレクトに受けての結果かノイズが目立っています。撮影現場の幕張メッセ展示ホールは本番ではなかったため照明をかなり落としていました。そこでLEDライトで光量を補填したのですが、それでもやはりゲインは上がっていたようです。今回の場面ではProResの高精細が仇になってしまいました。一方、AVCHDの方は、XA10独自なのかは不明ですが、ノイズリダクションのおかげてノイズはかなりおさえられている印象です。予想に反してパっと見はAVCHDに軍配が上がる結果となりました。しかし目を凝らしてみて見ると、やはり違いは現れています。特に圧縮ノイズの出やすい赤系の部分、AVCHDの方は諧調もくずれてバンディングが見られます。(赤○部分参照)またノイズリダクションのせいで、全体的に(若干ではありますが)精細に欠けてソフトな印象になっています。

ProRes収録は状況での使い分けが吉

先日の幕張メッセでの素材はノイズも出ていたこともあり、今回の比較のために日中に撮影した素材でもう一度比較してみたいと思います。条件としては同じですが、今度はゲインアップもなく、純粋な比較が出来ると思います。

PrpRes VS AVCHDクリックでオリジナル画像をご覧ください。
上記画像をご覧ください。今回は顕著に違いが出ています。映像に映っている赤い実の色の諧調ですが、ProResは奇麗に諧調が出ている一方でAVCHD収録は残念ながらバンディングを起こしています(赤い実と葉の色の破綻がおこり、スジ状のノイズが出ている)

 今回は時間が無く、この比較のために素材撮影や合成を行えませんでしたが、今後、実際作業する上でProRes収録の有効性は出てくるのではと思います。特にニーの部分を重視するような撮影(窓際での撮影など)や夕景、その他グラデーションの起こりやすい場面では顕著に違いが出ると思われます。ただし、XA10にそこまでの役目を担わせるか、と言われると限定的かもしれません。最小限のクロマキーシステムを組むときには威力を発揮するでしょうし、弊社でも今後試してみたいと思っています。逆にノイズが出てくるような状況では、XA10のAVCHD撮影のほうが有利かもしれません。もともとAVCHD圧縮はmpeg4がベースですし、mpeg4自体が圧縮ノイズをブラーで緩和させるような仕組みになっていたかと思います。さらにCanon独自?のノイズリダクションもあいまって、ゲインアップの映像はパっと見奇麗に見えるようです。まして目を凝らしてやっと違いが分かるといったことを考えれば通常の記録ではXA10単体で十分だと思いました。ATOMOS NINJAとの組み合わせは状況を見て判断になりそうですが、合成を前提に撮影するのであれば、やはり有効かと思われました。ましてやHDVなどのZ5JのようなカメラにはATOMOS NINJAの真価がさらに出てくるかと思います。Z5J+NINJAの組み合わせは、そのうちレポートしてみたいと思っています。

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