2013年10月2日 of GAIPRO.NEWS

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手のひらに乗る13STOPのHDRカメラ

2013.10.02

BlackmagicDesignの製品はATEM TelevisionStudioの事を書いて以来2回目ですが、当時はBMDでカメラのレポートを書く事になるとは夢にも思っていませんでした。さて、衝撃的なBMPC(BlackmagicCinemaCamera)の発表からはや1年余、また衝撃が走った今年のNABでしたが、弊社が発表と同時に予約を入れてしまったのが、このBlackmagicPocketCinemaCamera(以下、BMPCC)でした。マウントもマイクロフォーサーズ(以下、MFT)が標準となり、DMC-GH2、AG-AF105で業務を行っていた弊社にとって、導入しやすいカメラだったのは言うまでもありません。またデジタルシネマの世界では一般になったRawやLog収録の波が、いよいよ業務クラスにも押し寄せてきて、CinemaEOSを代表とするLog収録シネマカメラも賑わいを見せています。しかしながら前から興味があったものの、なかなか弊社のフローの中に即導入、とまでは至っていませんでした。実際のロケでは、1度だけCinemaEOS C100によるLog収録を行いましたが、基本的な知識が欠乏していたため、手探りの現場となりました。そこであくまでRaw/Log収録入門機として、BMPCCを導入しました。
BlackMagicPocketCinemaCamera
 つまりは、弊社はRaw/Log収録に関してはド素人です。ですので、これから書く事はあくまで弊社の考えであって、正確さは無いかもしれません。もし「それは違う」や「ここはこうやるといい」という意見がありましたら、弊社FB等で是非ご教授いただきたく思います。逆に考えると、これからRaw/Log収録やグレーディングに挑戦してみたいと思っていらっしゃる方は、同じ目線で読めるかもしれません。BMPCC自体に興味がある方も、是非この「奮闘記」を参考にしてみてください。
さて、本来なら前回のニュース「最小で最大の撮影を実現させる機材選び」でBMPCCを使う予定でしたが、納品が間に合わずGH2での撮影になりました。今回はリベンジ撮影ということで、当然「めちゃ軽セット(スライダー&クレーン)」との組み合わせで、八ヶ岳方面にテスト撮影に向かいました。

あくまでBMPCCだけで撮影する

BlackMagicPocketCinemaCameraこの気軽さ、小ささを貫くためには‥。Raw/Log収録入門機として買ったBMPCCですが、やはり「ポケット」と名がつくだけあって「13stopのダイナミックレンジをポケットに忍ばせたい」ですよね?いろんなサイトでは「BMPCCは単体ではまず使えない」と書かれている事が多いのですが、弊社では真逆のアプローチで、「いかに単体で、このコンパクトさをスポイルしないで使い倒せるか?」をテーマに検証しました。



今回のレンズセット

BlackMagicPocketCinemaCamera電子接点付マウントなので、アイリスの他、OISも効くBMPCCのセンサーは約1インチです。スーパー16mmとほぼ同じ大きさですので、通常のMFTのイメージからは少しテレ側にシフトしてしまいます。それを考えると、12-35mmという領域はほぼ標準~中望遠のレンズになるかと思います。さらにこのレンズにはOIS(手ぶれ補正)が装備されています。BMPCCに付けたところ、しっかり機能しているようですが、GH2ほどの手ぶれ補正は感じられませんでした。軽いレンズですし手ぶれ補正も付いている事から今回はこのレンズをメインにテストに望みました。

GH2などMFTカメラでは、かなりの広角レンズです。ゆがみもよく補正されてます。7mmという脅威の画角は、きっとBMPCCでも効果を発揮すると思い、ワイド系の迫力ある画をねらうために、このレンズを忍ばせました

夜の撮影の為に一応忍ばせました。ただ25mmということは、BMPCCではかなり望遠レンズになってしまいます。ですので、例のNikonのワイコンで17.5mm程度のイメージを狙います。

現場におけるBMPCC撮影フロー

BlackMagicPocketCinemaCamera
BMPCCでまず重要なのは、必要なダイナミックレンジをいかに収める事が出来るか?に尽きると思います。「Log収録だからある程度で撮っておけば後でどうにでもなるでしょ?」というのは半分正解で半分不正解の気がします。13stopといっても補正値には限界があります。重要なのはグレーディング後をイメージする事でしょう。まずカメラを対象物に向けたら、切り取った画の中で自分がもっとも見せたいものは何か?どこをどういじれば意図通りの画にもっていけるか、を考えます。それを踏まえた上で、弊社が現場で実行したフローを紹介します。(先にも申し上げた通り、これが正解という訳ではありません、あくまで弊社はLog初心者ですし、現状での弊社独自のフローとお断りしておきます。)BlackMagicPocketCinemaCameraMENU階層を辿って設定するのは若干ストレス
 さて、BMPCCで残念と言われている部分にアサインボタンの少さがあります。基本的には「MENU」キーを1度押して、MENU階層から辿って各項目を設定します。しかし実際はボタンでのアサインが可能なものは意外とあります。アイリス(電子接点付きレンズに限る)、AE、AF、ピーキング、拡大フォーカス、記録映像の送り、再生等です。尚、BMPCCは音声の設定もある程度細かく調整できますが、今回に至っては音声収録が無かったため割愛します。音声に関してはまたの機会に検証したいと思っています。(LineとMicの入力レベルが選べるのは嬉しいですね)それでは、まず撮影前の設定から順を追ってみます。

1)カメラにID、日付時刻を設定する(MENU/Camera Settings)

BlackMagicPocketCinemaCamera変更操作にはちょっとクセがある撮影するにあたり、最初にいくつか設定をします。まずはMENUボタンを押して、一番上に出てくるIDを変更してみます。デフォルトではBlackmagicPocketCinemaCameraとなっていると思います。ここを任意の英数字に変える事で、それがカードに記録されるmovのファイル名の冒頭になります。弊社は「GAIPRO」と変更しました。次に日付や時刻を確認し、必要に応じて変更します。この状態で収録してみると、ファイル名は「GAIPRO+リールNo+日付+時刻+クリップNo.mov」となるようです。カメラのID設定によりファイル名がより明確になるかもしれません。リールNoは中央の「OK」ボタンを押すと出てくるメニューで変更できるようです。(他、OKボタンを押すと、メタデータを編集し埋め込み事が出来るようです)

2)REC設定(MENU/Recorder Settings)

BlackMagicPocketCinemaCamera簡易的にRec.709LUTビューが可能。ただし録画に影響するので注意!現在のところBMPCCの記録方式はProRes422HQのみとなっています。公式に今後ファームでCinemaDNG(RAW)にも対応するとの事。弊社としてはCinemaDNGは重いのでProResで十分です(w 次に、ダイナミックレンジ設定ですが「Video」モードと「Film」モードがあります。今回は13stopのDRが得られる「Film」モードに設定、これがいわゆるLogです。「Video」モードは通常のビデオガンマ(Rec.709LUT)で記録されます。BMPCCはHDMIからクリーンアウトも出るので、当然この録画設定でのカラーガンマがHDMI出力にも影響します。という事は、もしHDMIアウトでモニターアウトしていた場合、「Film」から「Video」に切り替える事で、Rec.709LUTの簡易ビューが実現できる事になります。CL側のモニターで、グレーディング後のイメージを簡易で見せるには重宝するかもしれません。またREC設定内にあるフレームレートは、今回は弊社案件でもっとも汎用性ある29.97fpsに設定しました(シネマ系の方は23.98や24fpsでしょう)

3)ディスプレイの設定(MENU/Display Settings)

BlackMagicPocketCinemaCameraこの部分のDRは録画には影響しない。必要に応じて切り替えると良い適正露出を見極めるためにディスプレイの設定を変更します。先にも書いた通り、今回はBMPCC単体で使う事前提なので、当然外部の波形モニターや外部EVF等は考えていません。そこで適正露出を考える上での目安としてBMPCCに搭載されたゼブラを頼りにするしか無いのですが、いろいろ考えて、ここは100%に設定しました。75%でもいいのですが、HDRでは、やはりハイライト部は常に見ておきたいものです。つまりは、何処で色が飛ぶのかを見極めた上で、自分の意図したダイナミックレンジを切り取る、という事です。BMPCCで面白いのは、フォーカスを変えると、フォーカスアウトした部分のゼブラもボケてくるという事です。うまく使えばフォーカスアシスト代わりにもなります。
また「REC設定」とは別に、ディスプレイ設定の中にも「Video」モードと「Film」モードの切り替えがあります。ここを「Video」モードに設定すれば、あくまでBMPCCの液晶上のみRec.709LUT(通常のビデオガンマ)のイメージで見れます。(記録やHDMI出力には影響しない)弊社はここを「Video」モードにしました。「Film」モードだと色が淡すぎてピンが掴みにくいのと、とりあえずの適正露出がわかりずらかったからです。「Video」モードにする事で、中間色がより明確になり、露出が掴みやすくなります。ただし、当然ながら液晶上ではハイライトは簡単にぶっ飛んできますしシャドーは潰れます。後述しますが、あくまで中間色の露出をVideoモードの画面で見て、ハイライトに関してはゼブラを頼る、というフローを狙います。

4)ASAの設定(MENU/Camera Settings)

1)~3)は撮影前の準備ですが、ここからはいよいよ実際の撮影での設定に入ってきます。BMPCCを撮影する段階でまず最初に決めたいのがASA(ISO)です。メーカー推奨のベース感度はASA800なので、まずASAを800で固定してみます。ベース感度とは、「一番ダイナミックレンジ(以下DR)がとれる最低感度」と理解しています。つまり、それ以下に減感すると、13stopといった、せっかくの広ダイナミックレンジが犠牲になってくるという事です。通常のDSLR撮影では、Variable NDバリアブルNDで瞬時に露光量を調整できるシャッターとアイリスを固定して深度を操作し最後にISOで帳尻を合わせる、という場面があるかもしれませんが、ベース感度がある以上、BMPCCではできるだけASA800固定で考えます。ということでシャッターやアイリスを意図的に固定したまま手早く露光量を操作したい方はバリアブルND(以下、V-ND)は必須だと考えます。ASAは200まで落とせますが、その分ダイナミックレンジが犠牲になってしまうかどうかは正確な事はわかりません。いろいろがんばっても減光しきれない場合、最終的にはASAを下げる事もあると思います。ちなみにASA800では、やはり暗部のノイズは多少乗ります。DRを優先するか、減感してノイズを減らすか、悩ましいところですね。

【13.10.18追記】
ハイエンドの世界では、1STOP犠牲にする変わりASA(ISO)を下げて減感するのが常のようです。おおよそ400くらいでの撮影が多いようです。BMPCCの場合もDRが1STOPほど狭くなるようですが、やはり400のほうが暗部が綺麗です。それでも12STOP程度なので、日中屋外や屋内でも照明をちゃんと当てるのであれば400がベストなのかもしれません。特にあとで暗部を持ち上げるような計画の場合はなおさらですね。



5)ホワイトバランスの設定(MENU/Camera Settings)

BMPCCのWB値は3200~7500Kまで6段階しか選べませんが、Log収録の場合、そこまでシビアに考える必要は無いと思います。弊社は外では5600K、タングステン下では3200Kに設定しました。その場の光を読んで必要に応じて設定変更すればいいと思います。最悪設定し忘れても、なんとかグレーディングで戻しましょう(汗 ココ、Logで撮影しているとけっこう忘れる部分だったりします。



6)シャッタースピードの設定(MENU/Camera Settings)

シャッタースピード(BMPCCの場合、正確にはシャッター開角度)はフレームレートが30pの場合、基本180°(1/60に相当)かと思われます。なにも意図がなければ180°でいいと思いますが、東日本等50Hz圏内ではフリッカーをケアするなら172.8°(1/50に近い?)くらいに設定?します。ASA800に固定し、屋外でどうやっても絞りきれないような場合、45°まで狭める事もありました。高速シャッターになるので若干、画がパラつくかもしれませんが、特に屋外で深度を浅くしたい時、ASA800固定でアイリスを開放付近で固定の状態、さらにV-NDでも減光しきれない場合のみ、最終的にシャッタースピードで帳尻を合わせました。尚、残念ながら現段階ではシャッターのアサインボタンはありません。現状はメニューボタンから辿っていくしかありません。

【2013.10.11追記
どうも筆者の基本的な勘違いがあったようです。もともとシネマの世界で30fps(29.97fps)というのは無いので、BMPCCは基本24fpsを基準に考えられているようです。フリッカー対策の場合、24fpsであれば、172.8で、ピッタリ1/50相当になるのですが、30fpsの場合、1/50や1/100の近似値になる開角度がありません。現時点で30fpsでフリッカーを防ぐ方法は無い模様です(確認中)考えてみれば、上記記述では、シャッターを狭めているのにシャッタースピードが遅くなるというのはおかしな話で、筆者の基本的な勘違いでした。大変失礼しました。

尚、ビデオで言うシャッタースピードを割り出すには、1/(360xfps)÷シャター開角度 だと思います。

【2013.10.12追記
BMPCCには、108°(1/100相当)216°(1/50相当)が備わっておりました。確認不足で大変失礼しました。50Hz環境で、30p使用の場合は、こちらのいずれかでフリッカーを軽減する事が出来そうです。

現在のBMPCCのシャッター開角度は

45°→90°→108°→144°→172.8°→180°→216°→270°→324°→360° となります。
1/(360xfps)÷シャター開角度 の式に当てはめれば、シャッタースピードに換算できると思います。



7)アイリスの設定(方向キーの上下/IRIS)

BlackMagicPocketCinemaCamera残念ながらこのプッシュAEは現場でぜんぜん役に立たなかった。アイリスは電子接点付きのMFTレンズであれば液晶横の方向キー上下で変更します。また「IRIS」ボタンを押すとプッシュAEも出来ます。ただし、使った感想は、あまりアテにならないので、ちゃんと自分でアイリスを決めたほうがいいでしょう。マニュアルアイリスの場合はレンズ側で操作します。アイリスは深度を浅くしたい場合、開放付近に固定する事が多いでしょう。この場合、V-NDを装着し、最終的にはV-NDで減光して適正露出(この場合、正確には適正露光量になるのでしょうか?)に持って行きました。安いV-NDではWBがシフトする、という事もありますが、Log収録ですからそれもOKでしょう。BMPCCなら屋外ではV-NDはデフォルトかもしれません。



8)フォーカスを合わせる(FOCUS)

BlackMagicPocketCinemaCameraこのヘロヘロ液晶も拡大+ピーキングでなんとか切り抜けられそうBMPCCにはFOCUSボタンが用意されていて、押すとワンプッシュAFになります。ただフォーカスが合点するまではかなり遅くストレスに感じるかもしれません。(ちょうど、EOSのミラーアップしたままでのライブフォーカスモードのような感じです)AFボタンを1度だけプッシュすると画面中央に□が現れ、その部分のフォーカスが合点すると□が消えます。またAFアシストとしてBMPCCにはピーキングと拡大フォーカス(等倍ピクセル)がボタンでアサインされています。電子接点無しのマニュアルレンズの場合、AFボタンを1度押せばピーキング(エッジの色付)が出ますし、電子接点有りのレンズの場合はAFボタンを素早く2度押すと出ます。拡大フォーカスは、方向キー中央のOKボタンを素早く2度押すと液晶の中央部分が拡大されます。弊社はプッシュAFよりピーキング+拡大フォーカスのほうが確実と感じました。


以上が撮影までの大枠の設定の流れかと思いますが、テストであれやこれやと撮影していた結果、結局は、4)ASA、5)WB、6)シャッター、7)アイリス、を決めた後は、場面が劇的に変わらない限り、8)フォーカスをとりつつ、V-NDですばやく露出(露光量)調整、というフローに落ち着きました。アイリスは方向キーの上下ボタンですぐにアサインできますが、シャッタースピードに関してはメニューを辿っていかなければならず、なかなか骨が折れました。(電子接点付きのMFTレンズで)上下ボタンでアイリスが調整できるのであれば、左右ボタンでシャッター開角度がアサインできるよう、次期ファームで対応してもらいたいですね。特に本機上部の再生系3ボタンも撮影中にアサインボタンになってくれれば嬉しいです。シャッターの他、WBやディスプレイのダイナミックレンジモード、ヘッドフォンの音量調整など、思わず直アサインしたくなるものを割り当てる事が出来れば便利でしょう。なんにせよV-NDはBMPCCには便利です。

13STOPのDRを収める適正露出の見極め

ゼブラゼブラ100%でハイライトを見つつ、全体のDRを考える BMPCCを使う意味は、やはりFilmモードのHDR(ハイダイナミックレンジ)に尽きると思います。現場でどこに露出(露光量)をもっていくかで、後のグレーディング作業に影響してくると思います。では適正とは何なのか?これは先に言ったように「最終的にどういった画にしたいか?」をイメージし、適正をさぐる作業をします。弊社のようなグレーディング初心者にとって、もっともわかりやすいのは、やはりハイライトへの意識でしょう。通常のVideoガンマでは晴天時の屋外撮影で、特に空は場面により色が飛んでしまいますし、室内であっても窓際から見える外の風景は完全に飛んでしまいます。HDRで撮影しておく事で、出来る限りハイライトの諧調を残したまま撮影しておけば、グレーディングでグっと色を引き立たせる事も可能になります。
そこで弊社では、ゼブラ100%を表示させ、まずハイライトを基準に全体のイメージを見る、という方向で撮影してみました。ただ普通に液晶をみても、かなり淡い画で中間色が掴みにくいのでディプスレイ設定のモードは必要に応じて「Video(Rec.709)」に変更しました。BMPCCのASAは800で固定し、シャッターはとりあえず180°、深度は浅くしたいのでF2.8開放だとします。この時点ではどうやっても減光できないのでV-NDで最終的に減光しました。フォーカスを合わせつつ、とりあえず画面に100%ゼブラが出るか出ないかのあたりにNDのリングを回して調整します。(あからさまに太陽光の反射で光っている部分のゼブラ100%は無視)弊社のテスト撮影は、とりあえずこの繰り返しでした。100%ゼブラを出さないように調整したら、一番メインとなる部分が結構暗くなってしまった場合は、ディスプレイ設定を「Film」に戻してミッド〜シャドー部分も見つつ「飛ばしていい部分」の妥協点を見つけます。たとえば雲のハイライト部分は最悪飛んでいいけど空は飛ばしたくないと思ったら、空にゼブラが出ない程度に露光量を上げます。それで全体の雰囲気を再度確認し、「これならグレーディングでここを多少持ち上げて、ここを押さえて、ここは色戻して」など、瞬時にイメージしていきます。極論から考えると、ハイライトさえケアして、あとはできるだけミッド、シャドー部をもちあげて撮影しておけばいいのかもしれません。Log上で若干オーバーに感じても、あとでグレーディングで色を締めればいいと思います。逆にハイライトをケアしすぎてミッド〜シャドーが暗く撮影されてしまうと、あとで持ち上げなければならず、S/Nも悪くなることが予想されます。ここは完全なる弊社の憶測ですが、そのあたりのバランスを現場で考えDRの妥協点を見つけていました。(それは違うよー、というご意見あったら、ご教授ください)



持ちが厳しいバッテリー、すぐ満杯になるSDカード

BlackMagicPocketCinemaCameraやはり充電器は必須バッテリーは基本、カメラからの充電になります。(付属のACアダプタをカメラに接続)充電中はLED点灯等の表示が無いので、はたしてちゃんと充電されているのか不安になります。充電中か確認するには一度カメラの電源を入れて液晶を見ると分かります。ただカメラを起動した状態で充電すると時間が倍になるので、充電中はカメラの電源はOFFにします。現実問題としてNikonのチャージャーは1つは持っておいたほうがいいでしょう。あとはみなさんもう承知の上かもしれませんが、バッテリーはすぐ無くなります。体感的には撮り続けてると30分程度でしょうか?1日フルでロケにでるのであれば10本は用意しておいたほうがいいかもしれません。ただ弊社の場合は、あくまでLaw/Log勉強用カメラですし、HDRが必要な場面での飛び道具に使おうと思っているくらいなので、数個あれば問題ありません。メインのカメラのバッグにそっと忍ばせておければ、それでいいのです。それこそが「Pocket」の意味だと思っています。
収録先のSDカードですが今回使用したものはTOSHIBA製のSD-GU032G1(R95、W90MB/s)でした。ProRes422HQですので、最大220Mbpsのビットレートがあります。SD-GU032G1は一度も止まる事なく問題なく記録できました。しかしながら容量はハンパないですね(汗 集中して撮影していると32GBはあっという間です。SDカードは全部で3枚持っていきましたが、あっという間にフルになってしまいました。幸い、MacBookAir13inchを持って行ったので、コピーをとりつつMBAでデータを消してBMPCCに再び戻す事ができました。尚、BMPCC単体でSDカードは初期化できません。これはかなり不便ですね。途中で初期化する必要のある方はノートPC等を持参しなければなりません。
【13.10.4追記】
尚、収録分数について記載したほうがいいとアドバイスいただいたので調べてみたところ、32GBのSDカードで18分弱でした。飛び道具的には十分アリですけどね。ヘビーに使うなら64GBくらいは欲しいですね。



その他、実際現場で使ってみて気になったところ

今回は晴天時の屋外での撮影でした。気楽さを優先しBMPCC単体でどこまで撮影できるか、というのがコンセプトでしたので、外部モニターやEVF等は一切持って行かず、その場でBMPCC本体の液晶を都度みながらの撮影でした。BMPCCの液晶はお世辞にも高品質とは言えません。視野角は悪いですし晴天下ではかなり見にくいです。この状態で適正露出を見極めるのは大変かとは思われましたが、とにかくゼブラを表示する、ディスプレイモードを「Video」にする、拡大フォーカス+ピーキングを使う事でなんとかイケた気がします。日陰で液晶を見る際は問題ないのですが、やはり日向では自分の手で液晶を覆いながらの作業になったので、BMPCC単体で使うのであれば液晶フードは必須かと思いました。(3.5インチのフードってなかなか無いんです。探しています)見にくい液晶ながらもフォーカスの際は拡大フォーカスが出来たのと、ピーキングが役に立った気がします。また時にはプッシュAFも便利でした。結論はフードやルーペを付ければ十分単体で撮影できると思います。BlackMagicPocketCinemaCamera
あとは、撮影時にメニュー等を頻繁に行き来するのですが、やはりアサインボタンが欲しいところ。またアイリスの調整やMENUを行き来するための方向キーが若干重く、もう少し軽いタッチであったらストレスも無かったかもしれません。(ここは好みもあるでしょう)
もう一つ気になったのは小絞りボケです。NDが付けにくいワイド系のレンズ(今回はLumix 7-14mm F4 )では、深度を浅くする用途は無かったので基本アイリスで調整しましたが、F10を越えたところで小絞りボケなのかシャープさが失われソフトネスな感じになりました。(これは現場ではわからず、あとで撮影素材をPCで見返して判明しました)F値が二桁は避けたほうがよさそうです。どうしても絞り値が大きくなりそうな場合は、ASAを下げる、シャッター開角度を狭める等で頑張るしかありません。

【13.10.4追記】
BMPCC用の液晶フードですが、HOODMANのH-400かベストマッチでした。基本、2つのベルトでカメラに固定するのですが、BMPCCの形状により1つのベルトでした固定できません。ただそれでも意外にもしっかりフィットし、屋外での使い勝手も良かったです。3.5インチ用のフードってなかなか無いので、よかったらご参考までに。

グレーディングする

DaVinciResolve9LiteDaVinciResolve9Lite、無料って‥。さて、撮影してきたらさっそくグレーディングです。そのためのカメラですので。BMPCCには、DaVinciResolveLiteが用意されています。弊社もBMPCC納品までに習得しなければと思い、時間ある時にDaVinciをやっていたので、なんとなくの使い方は分かっていますが、やはり未だ手探りな事には代わり有りません。幸いにもYamaqブログの山本さん等が手引書を日本語で作ってくれています。Colorzというセミナーにも一度参加させていただきました。わらをもすがる気持ちでセミナーへ行き、ガイドラインを読み込んで、なんとか使えるようにはなりました。ただ考えてみればDaVinciにこだわる必要はまったく無いのです。例えばAfterEffectsが使えるのであれば、カラーフィネスが標準で付いていますし、Magic bullet coloristaやLooksでもいいと思います。AEのマスクやスタビライズ、キーイングを駆使すれば、まったく同じ事が出来る気もします。ただDavinciはなんとなく流行ってますし、動作が軽いとか簡単とか楽とか聞くので、やはりBMD純正のDaVinciで一度はグレーディングしておかないと、と思った次第です(おそらく今後は弊社ならLooksとか使うでしょう。)
 ここではDaVinciの具体的な使用方法は割愛しますが、とりあえず撮影した素材はPremiereProCS6で簡単にカット編集を行い、EDLで出力(なぜかXMLだとDaVinciに渡す時に失敗する)、DaVinciのコンフォームでEDLを呼び込み編集されたタイムラインでグレーディングします。グレーディングが終わったらレンダリングして、再度PremiereProにXMLとともに渡します。さて、どんな魔法がかかったのか、DaVinciでRec.709LUTを当てたもの、グレーディング前の素材、グレーディング後の映像を3つ連続でまとめた映像を下記にアップしておきます。(検証用にかなりオオゲサにグレーディングしていますので、ハイライトに変な色が乗ってたりするかもしれませんがご了承を)



【13.10.4追記
もう一つ、下記は、オリジナル、Rec.709LUT、グレーディング後を3画面マルチで見せています。環境が許せばYouTubeにてフルHDでご覧いただいたほうが解り易いと思います。尚、弊社がまだDaVinci初心者なので、中にはRec.709のほうが良いものもあるかもしれません(汗

これまでいろんな素材を見たり、人からの話をなんとなーく右から左へ流したりしていましたが、実際自分でやってみると目からウロコです。これはハマりますね。まるで白黒写真に魔法をかけるかのような感覚です。しかもちゃんと欲しいところに諧調が残っています。これを撮れるカメラが手のひらに乗る時代です。しかも1000ドルそこそこって‥。CMの現場にメイキング班で入った時などは、ARRI Arexaのローコントラストな映像を横目で見てましたが、あれから数年も経ってません。時代は驚くべきスピードで流れているのかと感じてしまいます。このカメラは1000ドルあまり、機能や使い勝手は限定されるも使い方次第では恐ろしいコストパフォーマンスです。
 さて、引き続きBMPCCのテスト撮影を行って行こうと思いますが、機会あれば、MFTのレンズ周りや音声周り、その他の周辺機器についてまた書いてみたいと思います。



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【GAI News.13.9.11】最小で最大を実現させる機材選び

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