2014年4月28日 of GAIPRO.NEWS

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GH4Kという名のリトルモンスター 前編

2014.4.28

GH4
 しばらく弊社News.を更新していない間に事件は起こりました。世界初の4K動画が撮れるミラーレス一眼の登場です。MFTファンの弊社としてはこれをレポートしないわけには行きません。さて、弊社は映像制作の会社ですので今回のお話はスチールの話は一切無しです^^; GH4はメーカーのモニター販売に当選していたものの、届いたのはなんと発売日当日では無かったというオチ。それでもなんとか翌日には届き、その足で幕張方面にテスト撮影に出かけたのでした。という事で、ファーストインプレッションを交えながら、さっそく4K動画も撮れるGH4の驚愕な動画機能を探って行きたいと思います

AF105の暫定後継機種と期待されたGH4?

マイクロフォーサーズこの通り、MFTにドップリです。AF105をこよなく愛す弊社にとって、GH4にはいささかネガティブな印象を持っていました。いくらユニットを付けたところで、DSLR(一眼レフカメラ)に変わり無いのです。ただ逆に考えると、適所によってシステムを小さく出来ますし、現場によってはユニット(YAGHG)を付けてしっかり撮影する事も出来ます。また、AF105ゆずりの部分も随所に見受けられます。中でもCINE LIKE Dを始め暗部、明部の細かい調整機能等、ピクチャースタイルに一歩踏み込んでくれた事は評価できます。映像に関してはLogやRAWモードこそありませんが、撮影の時点である程度ルックを作っておける事は、仕事の種類によってはとってもアリな部分です。弊社ではマイクロフォーサーズカメラ(以下、MFT)は、現在の所、4機種所有しています。AG-AF105、DMC-GH2、BlackmagicPocketCinemaCamera、そして今回のDMC-GH4です。MFTの優位点はなんといっても、全体としてコンパクトな体制のシステムを組めるところ、短フランジバックによりマウントアダプタ利用で使えるレンズが豊富な事です。また、これは弊社的に感じている部分ですが、センサーサイズのバランスが良く、深度を操作しやすいです(深度を深くしたい場合と、浅くしたい場合の幅を、レンズ選択により作りやすい)ちょうどビデオカメラとシネカメラのいいとこ取りをしたものがMFTカメラかと思っています。

GH4AF205になり得るのか? 今回は、あくまで弊社目線での、AF105からのリプレイス、という観点から、GH4の操作性や画質面を探っていきたいと思います。4Kがどうとか、というお話は他でもたくさん上がっていると思いますので、あくまで実際の業務で使うにあたっての、もう少し細かい部分を見て行きたいと思います。

弊社はGH3をスルーしてしまったため、GH3の時点で搭載されていた機能や利便性をレポートしてしまう可能性があります。ご了承ください


ピーキング&拡大フォーカスでピントは確実?

GH4強調色は3色から選べるGH4ピーキング「L(低)」GH4ピーキング「H(高)」


 4Kが搭載された事で、一番心配されるのがピントの問題です。弊社にとってAF105の「フォーカスインレッド」は命綱でした。繊細なピーキング処理(エッジに赤がつく)により微妙なフォーカシングでもあまり外した経験がありません。輪郭部分にガツっとエッジの色が乗るタイプのものではなく、ピント合焦点だけ微妙な赤のノイズがチラチラと繊細に乗る感じです。(実は、AF105を業務で最も使った理由の一つがココです。)さて、これがGH4に引き継がれているか一番気にしているところだったのですが、結論から言うとAF105よりもっと繊細なフォーカシングが可能でした。GH4のピーキングは「L(低)」と「H(高)」の2種類選が選べ、また強調色も「L」は青/橙/白、「H」は水色/黄色/緑から選択可能です。残念ながら馴れていた赤はありませんが、場面により色が選択できるのは助かります。「H」は非常に繊細なピーキングで、まさに求めていたものでした。ただ、場面によっては繊細すぎてピーキングがまったく目立たない場合もあるので、そういった場面では「L」を選択すればいいでしょう。ピーキングのON/OFFとL / Hのの切り替えは、のちに紹介するファンクションボタンにアサインしておくと便利です。(弊社はFn4に割り当てています)

 加えてGH2からの踏襲された機能ですが、ピントリングを回した際に拡大フォーカスが働く機能をONにしておけば、とりあえず4Kも怖くない気がします。(もちろん、これが苦手な人はFnボタンを押した時だけ拡大する仕様に変更可能)拡大フォーカス機能もブラッシュアップされており、拡大方法はワイプ(画面中央部分に拡大部分を表示)か全画面が拡大(EOSと同じ)かを選べます。さらに拡大部分も任意で選べ、拡大率もダイヤルを回す事で3倍〜6倍まで瞬時に変更できます。(拡大場所のリセットはDISPLAYボタンを押すと中央にリセットされる)このあたりの操作性はさすがに4世代目でありよくブラッシュアップされていると感じました。欲を言えば、JVC GY-HM650のように録画中でも拡大フォーカス機能が効けばよかったのですが、それはさすがに無理なようです。ただ前述したピーキング機能により、おそらくはワンマンでもほぼ無難なフォーカシングが可能かと期待しています。

 液晶はさすがに高精細で、GH2やAF105にくらべてかなりの精細感を感じました。それ以上に驚いたのがEVFの精度です。かなり高精細でフォーカシングには十分な気もします。(といっても4K時はどうかわかりませんが‥)GH2やAF105ではEVFは若干残念な仕様でほぼ使っていなかったのですが、GH4は晴天時では液晶を閉じてEVF運用でなんら問題ない印象でした。外部モニター&RetinaEVFやHDMIケーブル、バッテリーでゴテゴテにしなくても十分単体で戦えるのでは?と期待感高まります。

 注目のAFについては、後に詳しく書こうと思いますが、所詮、AFはAFです。おまけ程度に考えておいたほうが幸せでしょう。AFに過度な期待を抱く方がいますが、業務でAFを使う場面は限定的です。そこで、今回から搭載された空間認識AFはどんなもんなのか?は、利用場面含め、また次回書きたいと思います(ココ、いちばん知りたくてこのサイトに辿り着いた方、今回のレポートでは触れておりません。ごめんなさい^^;)


豊富なアサイン、業務の現場から見た操作性

GH4タッチ液晶のFnボタンは意外に操作性がイイ。GH4で驚いたのはFnボタンの多さです。物理的なFnボタンは5つですが、タッチ液晶の利点を活かし液晶タッチでのFnを含めると、10個のファンクションボタンがアサインできます。弊社の現在の割当は‥

Fn1:ピーキング、Fn2:クイックメニュー、Fn3:AF選択(マニュアルレンズ時は拡大フォーカス)、Fn4:ハイライト/シャドウ、Fn5:ヒストグラム、ここまでが物理的なFnボタン

Fn6:水準器表示、Fn7:EXテレコン、Fn8:ゼブラ、Fn9:ガイドライン、Fn10:バリアブルフレームレート、これらはタッチ液晶のFnボタン

と暫定で設定してあります。このあたりは実際の業務現場で随時変更していく部分になりますが、ほぼすべての機能がアサインできるのでとても心強いです。さらにFn2で出るクイックメニューの中のすぐに呼び出したい項目もカスタマイズ可能です。GY-HM650の「お気に入り機能」と同じですね。アサインボタンに関して言えばすでにAF105の操作性を越えていますw

 Fnボタンに加え、WB、ISO、アイリスシフトは個別にボタンが用意されています。もちろんアイリス、シャッタースピードは2つのコロコロダイヤルですばやく変更できます。(マニュアル時は個別、S/A優先時は両方のダイヤルが同じく機能)またそれぞれのダイヤルの割当を変更する事も可能です。デフォルトで、シャッターボタン近くの天面ダイヤルはアイリス、背面ダイヤルはシャッターに割り当てられているので、Canon EOSシリーズに馴れている人は逆にした方がいいでしょう(筆者も即効逆にしました)GH4S/A設定はコロコロがいいです。デフォルトではEOSと逆です。
AE/AFロックボタンにAFロックを割り当てておく事で、AF連続動作時、必要に応じてフォーカスを固定できます。Push AUTOの逆の概念ですが、AFまかせの撮影の際、このボタンで不意なピンボケを防ぐ事ができます。
 またPushAutoAFに馴れている方は(筆者含め)AF連続動作をOFFにした上でシャッターボタンを半押しする事でPushAutoAFが可能です。これはGH2の時から同じですが、GH2の時は、指に若干の力が入ってしまうと、ピントをとるつもりが思わず録画を止めてしまう事もしばしばありました。GH4は半押しとシャッターの間に明確なクリックがあるため間違って録画を止めてしまう事も少なくなりそうです。

 AE/AFロックボタンにあるAFのスイッチ切り替えツマミは1)AFS/AFF、2)AFC、3)MFの3段階になっています。2)AFCは一旦フォーカスが決まっても固定される事なく動き続けるので(フォーカスが常にピクピクと泳ぐ状態に)、シャッターボタンを押した段階でAFを固定したい場合は、1)のAFS/AFFに合わせておきます。もっと細かく言えば、1)のAFSとAFFの違いですが、AFSは完全固定、AFFは、固定はされるが対象物が動いた際、再度AFし直すモードです。これはMENU項目からどちらにするか選択しますが、動画の場合は特段の理由が無い限りAFSにしておいていいと思います。尚、この設定は動画収録時はそれほど影響が無く、あくまでMENU項の「AF連続動作」のON/OFFの設定のほうが重要です。

 尚、MENUボタンを押して設定変更し撮影に戻り、再度またMENUボタンを押して同じ項目の設定を戻したい場合、最後に開いたMENU項目がすぐ開きますので、煩雑なMENUの切り替え時には助かります。(AF105も同じ仕様だったが、AF105の場合はある一定の操作後、再びMENUを開くとデフォルトの位置に戻ってしまう場合が多かった)この仕様もMENUのカスタムセットアップで変更する事が可能で細かい部分でも撮影する側への気配りが効いています。



動画カメラを意識した機能、でも致命的な部分も?

GH4ヒストグラム表示場所も指で任意に移動できる。 GH4は暫定AF105とあってか(皮肉たっぷりに敢えて言います!)、動画機能が充実しているのが如実にわかります。思わず「これはビデオカメラだよ」と呟きたくなるほどです。表示機能一つとっても、ゼブラ(50%〜105%の範囲で5%刻みに2つ設定可能)やセンターマーカー表示が備わっています。(通常のDSLRの場合、グリッド表示はあっても、センターマーカーとかは無かったりします)最近のDSLRでは一般になったヒストグラム表示も便利です。ウェーブフォーム表示があれば完璧でしたが、ヒストグラムでも十分に露出の目安にはなりますし、液晶を指でタッチ&ドラッグするだけで瞬時にヒストグラムの表示場所を移動する事ができます。背面のFnボタンアサインしておけば、現場でON/OFFしながら確実に露出を確認できます。

 また、音声レベル設定や録画中の音声レベル表示も嬉しい機能ですね。これはGH2の時点で備わっていますが、3段階しか設定できなかったGH2に対し、GH4はレベルが-12db〜+6dbまで18段階と細かく調整可能です。さらにリミッターのON/OFF機能もあります。このあたりは完全に業務用ビデオカメラ仕様です。もちろん別売りユニットのYAGHGをセットすれば、もっと充実した音声操作が出来ますが、実機だけでも、ここまで出来れば十分な気もします。ただしLine入力への切り替えが無いので、Line入力の際は外部レコーダーを間にかますかYAGHGを利用するかになるでしょう。入力はミニプラグですし(ただしGH2のようなミニミニではなくなった!)XLR入力も出来ないので、弊社の場合、過去の記事にあるように、音声収録の際はTASCAMDR-100との併用を考えています。

 動画カメラとして弊社が致命的に思うのはレンズの焦点距離表示が無い事です。カメラマンはどれくらいの距離のものを撮影しているのか常に知りたいもの。また確実なフォーカシングの安心材料としても距離表示は必須です。DSLRなので、そんなのレンズのメモリ見ろよというのは分かるのですが、MFTレンズって距離メモリさえ無い、クルクルフォーカスレンズが実に多いこと!(涙 さすがに、山マークとチューリップマークしか出ないのは‥。これ、最低必須条件です。Panasonicさん、是非次回ファームで、距離表示への切り替えMENU、作ってください(切実)


もっとも気軽な4K動画カメラ

AdobePremiereProCCCorei7 3.4GHz NvidiaGTX680MX 2GBでそこそこ快適なんにせよ4Kです。これまで4Kといえば、SONY F55やCanon C500、1Dcのように、高価なシネカメラ&デジタル一眼レフでしか収録できませんでした(しかも1Dcは24pまで)その後、SONYがXAVC S規格を策定しAX100のような大判素子のハンディビデオカメラを出したのは記憶に新しいですね。もしくはBMPC4Kです。かたやPanasonicからはAVC Ultraが策定されていましたので、今後Panaが出すシネカメラの4K収録はAVC Ultraであるというのが定説でした。ではAF105の後継、というかGH4のような位置づけのカメラは果たして何のコンテナで来るのか?というのが、ささやかな話題にはなっていましたが、普通にMP4とMOV収録で来たわけです。弊社的にはXAVC S等の独自コンテナにしなかった事はとても評価できます。汎用性高いMP4やMOVであれば、既存の編集ソフトで気軽に扱う事ができますし、多くのソフト、機器が対応しています。MP4やMOVで4Kを収録できるカメラとしては、今の所GH4が唯一ではないでしょうか?(あ、BMPC4KのProResがありました^^;)これは余談ですが、弊社の編集環境はMac版PremiereProCC(現在は最新版の7.2.2)です。GH4はMP4とMOVのどちらかの形式で4K動画が撮影できますが、PrにはMP4のほうが相性が良い気がします。MOVでも編集してみましたが、時々フリーズしたような現象が散見されました。今後また気付いた事があればFacebook等でお知らせしたいと思います。

 さて、今回はまず操作性の部分を中心にざざざっとインプレッションを書いてきましたが、これはあくまで”ファーストインプレッション”です。今後撮影する中でトライ&エラー(いや古いねーこの表現w)を繰り返し、AF205をめざすべくGH4を使い倒していきたいと思います。その過程できっとまた新たなことがわかり、今回のレポートを修正する結果になるかもしれません。GW前に納品されて、もう浮き足だっている筆者でありました。

GH4勢い勇んでAF205を構築したのだが‥撃沈。最後に、Facebookでも書きましたが、感激した事と、残念だった事、気付いたことを書いて今回の前半を締めくくりたいと思います。
かねてから話題になっていたHDMIの10bit4:2:2出力ですが、この切り替えはMENU画面のカメラマークの階層を辿ると「撮影時HDMI出力」の設定内にあるのですが、それ以外に「情報表示 ON/OFF」があります。ここをONにすると、単純にGH4の液晶画面に表示されている情報がHDMIに重層されるだけでなく、前述した「使える」ピーキング及び拡大フォーカスも外部モニターに反映されるのです!外部モニター派にはとっても感動的な仕様です。GH4の液晶機能(タッチスクリーン以外)を外部モニターであますことなく利用できるのはとってもステキですね。もっとも前述した通りGH4の液晶&EVFが優秀なので‥選択肢が多い事は良いですね。

 そして残念な事は、期待した10bit4:2:2出力での外部収録ですが、弊社にあったAtomosの初代NINJAではGH4のHDMIを認識せず、SamiraiBladeでは認識はするものの、なぜか画面が真緑に^^; これは8bit 4:2:2時でも同じで、どうやっても今の所はダメ、完全に撃沈。10bit4:2:2収録の夢がしばし遠のきました。秋口に出るであろうAtomosの新製品である将軍様に期待しましょう!(これ、また新たな事が分かったらFacebookで報告します)あと、小ネタとして、MENU画面のセットアップ項目にある「メニューインフォメーション」をONにすると、すべてのMENUの機能の概要説明を画面上方にクロール文字表示してくれます。最初にカメラを手に入れた時、MENU見てると「これ、どういう時に有効?」って項目は多々あると思うんです。小さいですが大きい気配り、Panaさん感動しました。(って、これってGH2やGH3の時点であった?)このあたりは業務用ビデオカメラではまず無いですね^^;

GH4ハイアングル撃沈。どうにかならんものか‥。あと、微妙にうれしくて微妙に残念な部分に、MiniHDMIがMicroHDMIに変更された事があります。端子が小さくなったお陰でHDMI接続時に多少バリアングルの幅が確保できるようになりました。がしかし、已然にハイアングル時は液晶を下に向けることが出来ません。これは別ユニットのYAGHGを付けたときも同です。バリアングル液晶派には、ち、致命的。これ、やっぱHDMIはココしか設けられないんでしょうか?というか、きっと今回はコストダウンのためにGH3の裸体を流用しているので、変更は出来なかったのでしょう。ちょっとだけ幅効くよになったのが嬉しいけど、HDMI端子の場所は致命的に残念です。

 さて、次回はいよいよその驚愕な画質に迫ります。4Kもさることながら、通常業務ではまだまだHD収録です。HD収録の場合、これまでのGH2やAF105と比較してどうなのか、圧縮&エイリアシングノイズは?偽色は?注目の空間認識AFの精度は?また弊社的にかなり注目したCINE LIKE Dの搭載、Panaの業務用カメラでおなじみのDRS(ダイナミックレンジストレッチャー)の変わりに、今回からあらたに搭載されたハイライト/シャドウ調整項目。GH4をAF205とした時に総合的にどうなのか?を勝手気ままに書いてみたいと思います。



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